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ふるさと納税寄付額日本一の泉佐野市、稼いだ“外貨”を何に使った? 「ないなら、作ろう」で起きた変化:地域経済の底力(1/4 ページ)

ふるさと納税3.0で多くの寄付金を集めている大阪・泉佐野市。複数の企業を呼び込むことに成功した以外にも、思わぬ効果があった。

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著者プロフィール

伏見学(ふしみ まなぶ)

フリーランス記者。1979年生まれ。神奈川県出身。専門テーマは「地方創生」「働き方/生き方」。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修了。ニュースサイト「ITmedia」を経て、社会課題解決メディア「Renews」の立ち上げに参画。


 クラウドファンディングの形式を用いた「#ふるさと納税3.0」を活用し、約65億円の寄付を集め、大阪府泉佐野市にビール醸造所を新設したヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)。前編では、ビール醸造所を新設した理由とプロジェクトの詳細についてお伝えした。


ふるさと納税3.0にはさまざまな取り組みがある(出典:大阪府泉佐野市ふるさと納税事務局の公式Webサイト)

 ただ、ふるさと納税3.0を活用して泉佐野市に進出したのはヤッホーブルーイングだけではない。後編では、同制度を活用して進出した企業に加え、泉佐野市がふるさと納税で意識している点や、寄付金が集まったことによる市の変化を紹介したい。

ふるさと納税3.0利用企業は多岐にわたる

 東京に本社を置き、美容家電のOEM(相手先ブランドによる生産)やODM(相手先ブランドによる設計・製造)事業などを手がけるIBISも、ふるさと納税3.0を利用した一社だ。2024年8月から「泉佐野発! JAPANブランド強化 製造拠点新設プロジェクト」と銘打ったクラウドファンディング(CF)を実施し、13億円以上の寄付を集めた。それを財源に市内で工場用地を取得し、新工場を建設した。

 同工場は、ヘアアイロンやドライヤーといった美容家電の製造・組み立てエリアに加え、研究開発エリアや迅速な配送を担う発送エリアを併せ持つ。同社は「単なる製造拠点にとどまらず、泉佐野市から国内外へ『メイド・イン・ジャパン』の価値を発信していく次世代型のイノベーション拠点」だと位置付ける。

 IBISの担当者によると、新工場の候補地として泉佐野市を選んだ理由を「ふるさと納税3.0という、事業化に向けて圧倒的なスピード感を持つ仕組みが、当社の事業成長のスピード感と合致したためです」と説明する。

 進出後の成果は3つあるという。1つ目は、返礼品として提供することで自社製品のブランド認知が飛躍的に広がり、新たな収益の柱が確立できたこと。2つ目は、製造や組み立てだけでなく、修理などのアフターサービスや他の案件への柔軟な対応を自社内で完結できるようになり、事業の幅が広がったこと。そして3つ目が、泉佐野市で新たな雇用を生み出し、地域社会に直接貢献できていることだ。

 ビールの醸造所と家電工場。業種は異なるが、両社が成功の要因として挙げるのが、市役所との連携の密度である。

 実際、ヤッホーブルーイング大阪醸造所でユニットディレクターを務める谷篤実氏は、市の職員の姿勢に感銘を受けたという。


ヤッホーブルーイング大阪醸造所の谷篤実氏(ヤッホーブルーイング提供)

 「他の自治体の職員と比べても、バイタリティがあります。その理由は、“郷土愛”なのではないかと感じますね。財政赤字など、苦労してきた自治体だからこそだと思います。そういった土壌がある泉佐野市だからこそ、何十年という長い期間、信頼して事業ができると考えました」

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