「再発防止策だけでは、変われない」 プルデンシャル生命が謝罪、30年以上続いた不正の構造的問題は
プルデンシャル生命保険は10月8日、元営業社員などによる金銭詐取問題を巡る調査委員会の報告書を公表し、東京都内で記者会見を開いた。得丸博充社長は問題を「構造的かつ経営的な問題」と認識し、再発防止に向けた報酬制度や営業モデルの見直しなどについて説明した。
プルデンシャル生命保険は10月8日、元営業社員などによる金銭詐取問題を巡る調査委員会の報告書を公表した。調査委員会は今回の不正について、一部社員の個人的な問題にとどまらず、成果に連動する報酬制度や、個人の人脈に過度に依存した営業手法などに起因する「構造的かつ経営的な問題」だと厳しく指摘した。
同社は報告書の公表を受け、同日、東京都内で記者会見を開いた。会見には代表取締役社長の得丸博充氏、取締役副社長の秋山泰宏氏、執行役員副社長 兼 営業統括本部長の林邦良氏、最高ガバナンス責任者(CGO)の坂本英之氏が登壇した。
会見では、被害に遭った顧客への補償対応、不正を起こした社員への処分、再発防止策の確実な実行の3つを最優先に進めるとした。一方で「抜本的な改革といえるのか」といった記者からの質問に、得丸社長が「再発防止策を実行しただけでは、会社は変われない」と答える場面もあった。約4000人のライフプランナーを抱える生命保険大手プルデンシャル生命保険は、生まれ変わることができるのか。
30年以上続いた不正 「個人の問題」では済まされなかった
同社は1月に、社員・元社員100人超が顧客約500人から不適切に金銭を受領していたと発表。不正行為は1991年から2025年まで、30年以上にわたって確認された。
さらに、不正の発覚を受けて営業を自粛していた期間中にも、営業社員が複数の顧客に架空の高金利預金を持ちかけ、金銭を受領していた疑いが判明した。社員による顧客情報の無断持ち出しなど、情報漏えい事案も発覚し、ガバナンス上の問題が相次いで明らかになった。
報告書によると、被害額は顧客の申告ベースで61億6660万円に上るとしている。また、問題を受けて同社は社員・元社員157人に対し、懲戒解雇などの処分を下した。
調査委員会は今回の問題について「一部の営業社員などによる個別の不適切行為ではなく、会社としての構造的な問題」「個人の人脈・人的信頼関係に過度に依存したビジネスが本来の軌道から逸脱した結果」と指摘。経営側の責任にも踏み込んだ。
得丸社長は「金銭不祥事などが発生した構造的な要因について、過去の成功体験にとらわれ、社会的要請や環境変化があったにもかかわらず、改革を進めることができなかったと認識している」と述べ、謝罪した。
指摘を受け、得丸社長ら現経営陣3人は経営責任を明確にするため、月額報酬の30%を3カ月間、自主返納すると発表。また、過去の経営陣の責任についても、外部専門家による検証を踏まえて明らかにしていく方針を示した。
得丸社長「再発防止策を実行しただけでは、会社は変われない」
同社は再発防止策として、営業モデルを支えてきた評価・報酬制度の抜本的な見直しに着手する。従来の成果偏重から脱却するため、新たに「最低保証給」を導入するほか、報酬全体に占めるアフターサービスの比率を現在の5%未満から約20%へ引き上げる。
あわせて、本社スタッフが直接顧客をサポートする体制を構築、AIを活用した面談の録音・記録を導入し、営業活動の透明性を高める。属人的な営業からの脱却とガバナンス強化を図る。
被害に遭った顧客への補償対応、不正を起こした社員への処分、再発防止策の確実な実行という3点を最優先とし、新規の保険販売活動の自粛は当面継続する。
報告書では、2019年ごろから内部通報が増加するなど、不正の予兆やリスクを把握できる状況にあったにもかかわらず、十分に対応できていなかったと指摘されている。これに対し、得丸社長は「課題としては認識していた。個別に対策を講じ、タスクフォースを設置したこともあった。しかし、対策を立てた後、PDCAを回すことができていなかった。これは組織の構造的な問題が原因だと認識している」と述べた。
「再発防止策を確実に実行する」と掲げる一方、得丸社長は、それだけでは会社は変われないと話す。
「再発防止策を実行しただけでは、会社は変われない。『なぜ、今回の再発防止策を取るのか』『何を解決するために実施するのか』を会社全体、社員一人一人が理解しなければ、改革にはつながらない。(社内への浸透も)責任を持って進めていく」(得丸社長)
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