そのストレス、会議の「数」or「長さ」、どっちが原因? イトーキ×松尾研が調査、見えてきた実態は(1/2 ページ)
仕事の中で、会議が多いこと、それとも長いこと、どちらにストレスを感じやすいのか。
会議が多いとストレスがたまる。メールやチャットに忙殺されて生産性が下がる──。
ビジネスパーソンが日々、感じているこうしたストレス。これらのストレスが生まれる原因を特定し、改善につなげることはできるのだろうか。
オフィス家具大手のイトーキ(東京都中央区)は、AI開発の松尾研究所(東京都文京区)と共同で、働き手の生産性向上に関する研究を実施した。
その結果、職場の会議は「時間の長さ」よりも「数の多さ」が、翌日の働き手の心のコンディションに負の影響をもたらすことが示された。また、チャットやメールの受信件数が多いと、コンディションが低下する傾向も見られたという。
会議が多いから? それとも長いから? ストレスの“本当の理由”
イトーキはこれまで、オフィスワーカーを対象にしたサーベイで働く人の状態を把握してきた。しかし、本人の主観に基づくサーベイでは、コンディションの良しあしは分かっても、何を変えれば改善するのかという因果関係までは特定しにくかったという。
そこで、今回の研究では、イトーキの日本橋オフィスで働く854人の「行動データ」に着目。2025年12月1日から31日にデータを収集した。
オフィス内における従業員の位置情報、カレンダーに登録された予定、メールやチャットの送受信の記録。ここから、出社時刻や移動の回数、会議の数と時間、メール・チャットの件数や文字数など、日々の働き方を表す70項目を抽出した。
データは、個人が特定されない形でイトーキが匿名化したうえで松尾研究所が分析した。メールやチャットについては件数や時刻、文字数といったメタデータだけを対象とし、内容には触れなかった。
分析では、これら70項目の行動に加え「体」「心」「組織内の人間関係」という3つのコンディション、最終的なアウトプットとの関係を調べた。なお、アウトプットには、従業員一人一人のサーベイに基づく主観的な成果を用いたという。
従来の相関分析では「会議が多い日は調子が悪い」といった同じ日の関係しか分からず「会議が多いから調子が悪いのか、調子が悪いから生産性が低くなり、会議が増えるのか」を判別できなかった。
今回は従業員ごとの日次データから「『今日の行動』が『翌日の状態』にどう影響するか」をAIで推定。「設計・開発・企画」「営業・サービス」「管理」の3つの職種ごとに分類し、それぞれの職種で同じ傾向が見られるかどうかを分析した。
会議は「数」が多いとコンディション低下
分析の結果、会議の「数」が多かった日の翌日は、3つの職種全てにおいて、従業員の心のコンディションが低下していた。
会議の「長さ」(総時間)より、会議がいくつ入っているかの影響が強く表れたという。
一方、会議などに中断されずに60分以上まとまった作業ができた日は、88%の従業員で翌日の心のコンディションが向上していることが確認されたという。
松尾研究所シニアデータサイエンティストの大西直氏は「会議の数が従業員のコンディションに影響していると分かれば、会議の時間を短くするよりも、会議を開かなくても進められる仕事のやり方を考える方が効果的ではないか、といった発想ができる」と説明する。
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