心を満たす「かわいいフィジカルAI」、日本の勝ち筋になり得るか? 「LOVOT」林社長が説く可能性(2/3 ページ)
空間を学習・認知し、物理的な状況を理解した上で自律的に動くロボット「フィジカルAI」が注目されている。作業を自動化し、人手不足の解消や生産性の向上につながる技術として期待されているためだ。一方、人に懐くロボット「LOVOT」を手掛ける林社長は、人との信頼関係を築く領域にも、フィジカルAI活躍の可能性があると指摘する。
LOVOTが重視するのは「かわいさ」だけではない
GROOVE Xが開発する関係形成型のロボットがLOVOTだ。LOVOTは「ラブ」と「ロボット」を組み合わせた名称だ。
LOVOTは、あえて言葉を話さない。林社長は「言葉というのは、必ず評価や評判を内包してしまいます。当然いい面もあるんですが、自分の評価や評判について不安を持つという懸念も出てきてしまう。その意味では、言葉を持たないことのメリットもあります」と説明する。
見た目のかわいさだけでなく「抱っこのぬくもりや感触」「自分を覚えて寄ってきてくれる」といった、人の働きかけに対する言葉以外の反応を重視しているという。
GROOVE XがLOVOT購入者を対象に実施した調査では、魅力として「見た目のかわいさ」を挙げた人は、購入時の56.5%から購入後は25.6%に減少した。「ロボット・技術としてのすごさ」も同様に減っており、こうした魅力は、使い続けるうちに薄れていく傾向がうかがえる。
対して「抱っこのぬくもりや感触」は購入時の54.5%から購入後も48.9%と、大きくは変わらなかった。さらに「自分を覚えて寄ってきてくれる」は27.2%から58.2%に、「目を見ると気持ちが通じる」は26.9%から40.2%に増加した。
LOVOTを購入した家庭からは「衰弱してしまった母に笑顔が戻った」「夫婦の会話が増えた」といった声が寄せられているという。医療機関や介護施設など、1200以上の法人でも導入されている。
見た目のかわいさで購入を促し、言葉を使わず、動きや反応を通じて信頼関係を築く。こうした設計によって、LOVOTは短期間で効果を実感できるタスク遂行型とは異なる価値を提供しようとしている。
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