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「もうプロンプトは書かない」 Claude Code生みの親が明かす“ループエンジニアリング”の衝撃(4/4 ページ)

「もうClaudeにプロンプトを打っていない。私の仕事はループを書くことだ」――。対話型コーディングツールの生みの親ボリス・チェルニー氏らがたどり着いたのは、人間が指示する役から退き、AI自身が仕事を回す「ループエンジニアリング」だった。指示文を書く時代はわずか2年で終焉へ。莫大なトークン消費や暴走リスクを抱えつつも、コーディングから全ビジネスへと広がるAI新時代の働き方に迫る。

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営業も経理も「ループを設計する側」へ

 ループエンジニアリングは、コーディングの世界だけの話では終わらない。

 以前の記事「話題の『トークン資本と人間資本の学習ループ』はこう作る」で紹介した米Trajectory(トラジェクトリー)創業者のロナック・マルデ(Ronak Malde)氏の見立てを思い出してほしい。

 この2年間、数あるAI応用領域の中でコーディングだけが突出したスピードで進化した。その一因は、AIコーディングツールの米Cursor(カーソル)社などが、ユーザーの実際の利用データでモデルを鍛え、改善版を定期的に出荷するという循環をいち早く確立したことにある、というのが同氏の分析だった。使われるほどAIが賢くなり、賢くなるほど使われる。ループエンジニアリングは、この好循環の上に成立した働き方だと言える。

 そしてTrajectoryが目指すのは、コーディングで起きた「実利用データでモデルが育つ」という現象を、あらゆる業界に持ち込むことだ。例えば小売企業に「観測レイヤー」を置き、従業員がどんな手作業を繰り返しているかをAIが観察する。作業のパターンを学び取り、その業務専用のエージェントを構築し、使われるたびに改善していく。モデルだけでなく、エージェントを動かす骨組みやスキル、記憶の仕組みまでが、まるごと学習ループの最適化対象になるという構想だ。

 つまり、こういうことだ。コーディングの世界で「人間はプロンプトを書く人から、ループを設計する人へ」という転換が起きたように、営業でも、経理でも、店舗運営でも、同じ転換がやってくる。人間が毎回AIに指示を出すのではなく、仕事を見つけ、こなし、検証し、改善し続けるループを設計する。そのループの中に「ノー」と言える検証の仕組みを組み込み、暴走しないよう監視する。それがあらゆる職種における人間の新しい仕事になっていくのではないか。

 プロンプトの書き方を学ぶ研修が流行ったのは、つい最近のことだ。次に学ぶべきは、ループの設計図の引き方かもしれない。

本記事は、エクサウィザーズが運営するAI新聞内の記事「『もうプロンプトは書かない』Claude Code開発者が提唱するループエンジニアリング」(2026年7月5日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。

著者プロフィール

湯川鶴章

AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。17年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(15年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(07年)、『ネットは新聞を殺すのか』(03年)などがある。


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