50代「まだまだやれるのに」 給料はダウン、上司は年下……役職定年廃止は進むのか?(4/5 ページ)
大企業を中心に、役職定年制度を廃止する動きがある。その背景には何があるのか。シニア社員の人事制度について企業が見直すべきポイントと、50代ビジネスパーソンのキャリア戦略について解説する。
役職定年制度を見直した、太陽生命保険の事例
役職定年制度を見直した例として参考になるのが、太陽生命保険だ。同社は2017年に、定年年齢を60歳から65歳に引き上げると同時に、57歳での役職定年制と特別職員制度(非役職者も役職定年者と同様に処遇を引き下げる制度)を廃止した。
その際、職責を果たさない人が管理職を続けることを防止する策として、管理職に求められる能力認定要件を見直し、降格要件を厳格運用することも決めている。
給与については、新入社員から65歳定年まで同じ制度を適用することにより、57歳から65歳まで段階的に処遇を引き下げていた旧制度と比べて、社員の生涯賃金が平均15%以上増加したという。加えて2020年に給与体系を改定し、固定部分である資格給を縮小する一方、成果給や職位手当といった変動部分の拡大、人事評価を処遇へ反映する比率の引き上げも行い、社員のモチベーションの向上を図っている。
同社では、シニア社員に共通する特徴として、これまでの業務経験を生かした折衝力や会社全体を俯瞰(ふかん)できる能力があるとし、内部監査部や総合リスク管理部に加えて、お客さま相談窓口など直接顧客とコミュニケーションをとる業務での活躍に期待しているという。
また、全国からシニア層の中間管理職を集めて総合研修を開いたり、マネジメントやコンプライアンスなどに関する通信講座を提供したりして、さらなる成長の機会も提供している。
このように「あなたは会社にとって必要な存在で、さらに成長して活躍してほしい」と伝えることも、ミドル・シニア社員のモチベーションを引き出し、能力を発揮してもらうためには重要なことだ。
(参考:「日本の人事部」「高年齢者活躍企業事例サイト」)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
社員を抱えきれない時代に 早期退職だけが答えではない、「シニア副業」という一手
定年まで社員を抱えきれない時代、早期退職だけが選択肢ではない。シニアの副業を後押しすれば、人材流動化や社外での活躍につながる可能性もある。企業が見直すべき制度設計と支援策を考える。
「辞めてほしいシニア」と「残ってほしいシニア」 企業はどこを見ているのか
早期退職を募集する企業が増える中、「残ってほしいシニア」と「辞めてほしいシニア」は何が違うのか。大企業の組織構造や専門性を手掛かりに、企業が人材を見極める基準と、社外で活躍するためのヒントを解説する。
Netflixの大規模リストラはなぜ成功した? 日本企業には真似できない大きな差
パナソニックが1万人の人員削減を発表した。リストラは、された側だけでなく、されなかった側にも大きな傷を残す。今回は、米Netflix社の成功事例を参考に、日本企業のリストラとの向き合い方を考える。
経営者「出社回帰で生産性向上!」社員「むしろ逆!」──この深刻なギャップはなぜ生まれるのか
“出社回帰”に動く企業が増えている。「出社回帰」させたい企業と、リモートワークの権利を手放したくない社員。両者のすれ違いはなぜ起きるのか。