「自社都合」のセキュリティ対策になっていないか 相次ぐ情報漏えい、安否を分ける3つの対策(3/3 ページ)
AIの活用によって、サイバー攻撃は高速化・巧妙化している。企業は何を優先して守るべきなのか。KDDIグループのセキュリティ事業を手掛けるラックでCTOを務める倉持浩明氏は、守る側の都合で対策の優先順位を決める危険性を指摘する。
企業が取り組むべき、3つのセキュリティ対策
では、企業は具体的に何に取り組めばよいのか。倉持氏は3つのポイントを挙げる。
1.セキュリティ対策は後から足すのではなく、最初から組み込む
1つ目は、システムやソフトウェアを企画・設計する段階から、セキュリティ対策を組み込むことだ。システムを開発した後に問題を見つけて修正するのではなく、企画や要件定義、設計、開発の各段階で対策を講じ、脆弱性が生まれるリスクそのものを減らす。
2.システムの安全な状態を把握し、維持する
2つ目は、稼働中のシステムが安全な状態かを継続的に確認することだ。
システムは一度作れば終わりではない。事業の変化に応じて設計や設定、利用者の権限などが変更されるほか、新たな脆弱性が見つかることもある。こうした変化によって、当初は安全だったシステムに新たなリスクが生じる可能性がある。
3.検知・修正・確認を素早く繰り返す
3つ目は、セキュリティ上の問題を見つけるだけでなく、迅速に修正し、安全な状態に戻ったことを確認する仕組みを整えることだ。脆弱性の検知・修正・確認のサイクルを素早く繰り返すことが大切だという。
また、セキュリティ対策を専門部門だけの仕事にしてはならない。人材が不足する中、開発部門や運用部門のメンバーも、セキュリティの知識を身に付ける必要がある。
AIによってサイバー攻撃の速度が増す中、脅威を知るだけでなく、自社への影響を素早く判断し、対策につなげる仕組みが求められる。その過程にAIを活用することは有効だが、最終的な判断と実行の責任は人間にある。倉持氏は「AI時代だからこそ、基本を当たり前に実行していく。それが非常に重要だ」と話した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
アサヒロジはどうやって「年826時間」を削減した? 2万件の契約書を一元管理する“泥臭い改革”とは
全国79拠点・約2万件の契約書管理が属人化していたアサヒロジ。クラウド管理への移行と地道な現場の巻き込み施策により、年間826時間の業務削減を達成した。ガバナンス強化と効率化を両立させた同社のDX軌跡を紹介する。
日本の「造船業」は復活できるのか 国交省が「かつてない規模の予算」で挑むフィジカルAI
人手不足と国際競争の激化に直面する日本の造船業。政府は2035年に国内の船舶建造量を倍増させる目標を掲げ、AIやロボティクスの活用を支援する。造船現場の生産性を高め、熟練技能者の技術を次世代につなぐ取り組みを追う。
トイレ掃除「90%」自動化も “ペッパーくん”でお馴染み、ソフトバンクロボティクスが語る「フィジカルAI」の勝ち筋
AIが現実世界で動く「フィジカルAI」。人手不足の解消や生産性向上が期待される一方、現場への導入には課題もある。ソフトバンクロボティクスの事例から、日本の現場が持つ強みと、フィジカルAIを活用するための条件を探る。
バーガー買うのに、個人情報は必要か? “メガ漏えい”で露呈した「データ持ち過ぎ」問題、先進企業の対策は
公式アプリに登録した個人情報の漏えいが相次いでいる。そもそも、こんなにデータを保持する必要があるのか。先進企業が取り組む「持たない対策」に迫る。
GMO、サイバー犯罪情報に「懸賞金1.5億円」 最大300万円の特別見舞金も
GMOインターネットグループは「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスを巡り、総額100万ドル(約1億5000万円)を上限とする「GMOサイバー犯罪撲滅・懸賞金」を創設すると発表した。
