電話やFAXが当たり前、メアド把握はわずか1% レンタルのニッケンは「年間27万件の請求書」をどうデジタル化した?(2/2 ページ)
年間27万件を超える請求書を抱え、普段のやりとりは電話やFAXに依存していたレンタルのニッケン。仕入れ先のメールアドレス把握率がわずか1%というアナログな環境から、どうやってデジタル化を進めたのか。
従来はFAXか電話でやりとり メールアドレスの把握は「1%」だった
次に取り組んだのが、仕入れ先に請求書の送付先を変更してもらうことだ。これまではFAXや電話でのやりとりが主だった。これをデジタル化するためには、メールアドレスを把握する必要がある。
ところが、プロジェクト開始時点でメールアドレスを把握していた仕入れ先の事業所は、全体の1%だった。
「そもそも電子的に連絡ができません。普段のやりとりは電話やFAX。これでは一斉に通知することもできません」
約1万8000カ所の仕入れ先に協力を求めるため、同社は、FAXでメールアドレスの提供を依頼。「『メールアドレスをください』とFAXを送る。笑うに笑えないようなスタートでした」と綱氏は当時を振り返る。
さらに、FAXにQRコードを印刷し、スマートフォンで読み取った画面からメールアドレスを登録できるようにした。集めたメールアドレスを使って送付先の切り替え方を案内する際には、説明動画も活用。Bill Oneの操作方法を解説する動画も用意し、仕入れ先への説明にも役立てている。
業務ルールを変えても「人の行動」は変わらない
最後に導入したのが自動照合だった。
Bill Oneで受領した請求データを基幹システムに連携し、支払い予定データと自社開発のプログラムで突き合わせる。金額が一致した請求書は支払い処理に進み、不一致のものだけを事務センターと営業所で再確認する仕組みとした。
金額が一致すれば自動で支払い処理が進むため、現場では事前に金額を確認し、不一致を減らそうとするモチベーションが高まる。結果として、請求書の受領前に必要な確認を済ませる業務も定着していった。
「業務ルールを変えるだけでは人の行動は変わりませんでした。紙の入り口を変え、さらに自動照合で新しい行動が自分たちにとって得になる、そんな仕組みにした。そこで初めて新しい業務が定着しました」と綱氏は話す。
導入後は、オフィスに鳴る電話が大幅に減り、メールに加えてチャットでのやりとりが増えたという。「対面する業界全体がデジタルなやり方に慣れてきていると感じています」と綱氏は話す。
今回の取り組みから得た教訓として、綱氏は「プロセス再設計」「全てをデジタルに」「ルールより仕組み」の3点を挙げる。
新しい業務プロセスを設計し、紙の請求書が残らないように工夫し、新しいやり方が自分たちにとって利益があると思い、自然に選ばれる仕組みを整える――。年間27万件を超える請求書のデジタル化は、業務そのものと、現場の行動そのものを変える取り組みを積み重ねることで実現した。
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