予算止める側だったのに「増額」進言 現場の「伸びそう」応援する“CFOの右腕”設置、MIXIに何が起きた?(1/3 ページ)
MIXIが財務経理の改革に注力している。経営企画から「CFOの右腕」を切り出し、予算配分について進言。芽がある事業への予算増額を実現した。改革の裏側をCFOが語る。
経理財務はこれまで、量をこなすことを前提にした組織だった。仕訳を入力し、決算を締めるまでは残業も避けられない。そうした作業の多くを、AIに代替できるようになりつつある。では、作業をAIに任せた後、経理財務は何を担うのか。
財務経理の在り方を模索している企業の一つが、MIXI(ミクシィ)だ。同社は2025年4月、予算策定や業績分析を担うFP&A(財務計画・分析)機能を経営企画部から切り出し、AIの活用を前提にした「FP&Aインテリジェンス部」(以下、FP&AI部)を新設した。同部の提案で、伸びている事業への予算上乗せが実現するなど、数字を基に事業を動かす動きが生まれている。
“経理財務の改革”によって、MIXIは何を得たのか。同社の島村恒平CFO(最高財務責任者)が取り組みの舞台裏を、オンラインカンファレンスで語った。
本記事は、TOKIUM主催のオンラインカンファレンス「TOKIUM AX VISION」(10月15日開催)におけるセッション「MIXI『FP&AI部』に見る、AI時代の経理財務のあり方」を基に構成。
経営企画から切り出した「CFOの右腕」
MIXIは、SNS「mixi」のヒット後に上場し、モバイルゲーム「モンスターストライク」、子どもの写真や動画を共有するアプリ「家族アルバム みてね」など、エンターテインメントやライフスタイル関連の事業を展開している。事業が多岐にわたるほど「全社の視点」「個々の事業の視点」それぞれを見なければならず、数字の論点も増えていく。
日本企業は、予算づくりを経営企画部が担うことが多い。MIXIも同様だったが、経済産業省や東京証券取引所が資本コストを意識した経営を求めるようになり、CFOの右腕として数字で経営判断を支えるチームが必要になった。ただ、経営企画部はさまざまな特命も担うため、数字だけに集中するのは難しい。そこで、数字の戦略に関わる機能を独立させ、専門に担わせることにした。
新設したFP&AI部は、全社最適で予算を配分する「コーポレートFP&A」、本部ごとに担当を置く「事業FP&A」、AI化を進める「アナリティクスチーム」の3グループで構成する。経営企画部のメンバーで発足した後、中途採用や事業部門からの異動で人員を増やしてきた。事業や経営への理解がなければ、数字の読み方が定まらないためだという。
コーポレートFP&Aと事業FP&Aを分けたのは「好調な事業に投資を回し、不調な事業の予算を止める全社の視点」と「担当事業のために動く個別の視点」が、ときに衝突するからだ。「1人で2役を担おうとすると、意外とできないものだ」と島村CFOは説明する。
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