予算止める側だったのに「増額」進言 現場の「伸びそう」応援する“CFOの右腕”設置、MIXIに何が起きた?(2/3 ページ)
MIXIが財務経理の改革に注力している。経営企画から「CFOの右腕」を切り出し、予算配分について進言。芽がある事業への予算増額を実現した。改革の裏側をCFOが語る。
予算を「削る」側から「足す」側へ
FP&AI部の発足後、目に見える成果となったのが、競輪やオートレースの車券(勝車投票券)を買えるアプリ「TIPSTAR」での予算修正だ。
MIXIのサービスは、友人や家族と一緒に楽しむことを前提に設計している。事業FP&Aは、友人と一緒に遊んでいるかどうかを示す独自のKPI(重要業績評価指標)を追った。TIPSTAR事業でKPIの数値が伸びてきたのを捉え、マーケティング投資の増額を進言。これが採択され、全社の予算を修正した。
島村CFO自身、予算担当として予算を止め、抑制を促す側に立つことが多かった。伸びている事業への上乗せをコーポレート側から発案する動きは珍しく、キャリアの中でも象徴的な出来事だったという。
「現場は『伸びそうだ』と思ったところで止まりがちだ。事業FP&Aは、会社に余っているガソリンがあるなら持ってこようと考える」と島村CFOは分析する。資金を全社から配分し直す視点を持つ人がいることが、組織がうまく回る理由だという。
作業をAIに渡した経理財務は「社内コンサル」へ
財務分析を担うFP&Aの作業そのものは、AI化が進んだ。FP&Aは経理の後工程として、締まった数字で予実分析(予算と実績の比較)をし、取締役会に持っていくだけで手いっぱいになるケースが多い。MIXIではその作業がほぼなくなりつつあり、アウトプットが自動で出てくる手前まで達しているという。
島村CFOは、経理財務の作業も同じようにAIへ移っていくとみる。ただ、全てが置き換わるわけではない。仕訳の入力はなくなっても、会計方針を考える仕事や、判断が分かれる会計処理を監査法人と調整する仕事は残る。
その上で経理財務が目指すべきは、社内コンサルタントのような存在だと説く。新しい事業を始める部門から、税務や会計処理の相談を受ける場面は今もある。その役割を広げ、これまで社内になかった付加価値を提供する組織へ変わるべきだというのだ。
組織だけでなく、担当者本人にとってもメリットがある。「ルーティンをAIに任せれば、経理だけのキャリアではなく、IR(投資家向け広報)や財務、FP&Aにも領域を広げられる。よりCFOに近い、マルチな人材になる道が開ける」(島村CFO)
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