JR東日本の新決済サービス「teppay」は普及するのか? Suicaの「上限2万円」解消も、クレカチャージには制約(3/3 ページ)
JR東日本が新たなコード決済サービス「teppay」を開始した。Suicaの「上限2万円」を超えるチャージが可能になる一方、チャージはビューカードに限定され、タッチ決済にも非対応だ。普及に向けた課題と勝算を探る。
Suicaの上限撤廃ではダメだったのか
Suicaの決済機能において、上限額2万円が普及のネックとなっているのなら、上限額そのものを引き上げる、あるいは撤廃するのではダメなのだろうか。Suicaのタッチ決済にはソニーが開発した「FeliCa」を採用しているが、技術上、FeliCaに2万円の制約はないとされている。
Suicaの最大の強みは、読み取りが不要な「タッチ決済」である。teppayでは、JCBの決済システムを採用したことで、強みのタッチ決済機能が失われてしまった。teppayで電車に乗ることはできない。
また、従来の「カード型Suica」の利用者も無視できない。Suicaの累計発行枚数は近年、年間1000万超のペースで増え続け、2025年度末には1億2000万を突破した。モバイルSuicaが普及をけん引しているとはいえ、累計発行枚数は約4500万枚で、全体の3分の1程度にとどまる。
一方、カード型Suicaも年間100万〜300万枚のペースで拡大している。teppayはモバイルSuica上で利用するサービスのため、モバイルSuicaを利用していない層にはリーチしにくい。
同じ企業内におけるブランドの乱立は、認知度向上の制約となる。また、駅ナカ商業施設で既に普及しているPayPayなどと比較して、ポイント還元率が高いわけでもない。
JR東日本は、経営ビジョン「勇翔2034」の中で「Suica Renaissance」(Suicaルネサンス)を掲げ、Suicaを単なる移動用の電子マネーから決済・認証・サービスをすべてつなぐ「生活のデバイス」に変革する取り組みを進めている。
teppayによる「2万円の壁」撤廃やモバイルSuicaアプリ内で使える点は大きなメリットだが、生活のデバイスになるにはまだ課題が多そうだ。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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