なぜ三井住友は新店舗で「銀行名」を外したのか? 「富裕層100万人」を囲うSMBC融合の正体(1/4 ページ)
10月26日に開業した「SMBC Wealth吉祥寺」は三井住友銀行の店舗を改装した拠点だが、掲げた看板は銀行名でも証券会社名でもなく、SMBCグループの富裕層向け共通ブランドだ。銀行・証券・信託のどの顧客も、ここでグループの担当者に相談できる。三井住友フィナンシャルグループ(FG)が目指すのは、各社が協力し合う従来の「連携」ではなく、看板も店も商品棚も人材も一つにする「融合」。その狙いと背景とは?
10月26日、三井住友銀行の店舗を改装した「SMBC Wealth吉祥寺」がオープンした。看板は銀行名でも証券会社名でもなく、SMBCグループの富裕層向け共通ブランドを冠する。銀行・証券・信託のどの顧客も、ここでグループの担当者に相談できる。
SMBCグループが目指すのは、各社が協力し合う従来の「連携」ではなく、看板も店も商品棚も人材も一つにする「融合」。その狙いと背景とは?
左からSMBC日興証券の中田太治専務執行役員、三井住友フィナンシャルグループの上村明生リテール事業部門長、タレントの天海祐希さん、SMBC信託銀行の進藤徹也常務取締役兼常務執行役員(アイティメディア撮影)
「連携」ではなく「融合」 看板と店をグループで一つに
富裕層ビジネスの専門人材も自前で育成する。三井住友銀行とSMBC日興証券の「グループリテールコース」採用で入社した新入社員は、1年目を三井住友銀行で、2年目と3年目をSMBC日興証券で過ごす。2025年度入社から始めた仕組みだ。このほかに、人材交流はすでに銀行から日興へ約300人、日興から銀行へ約100人に達した。
人の行き来は持株会社の三井住友フィナンシャルグループ(FG)が進める富裕層ビジネスの組み替えの一部だ。傘下の銀行・証券・信託が別々の看板と店で提供してきた富裕層向けの資産運用や承継の相談サービス(ウェルスマネジメント)を「SMBC Wealth」という一つの看板、一つの店、一つの商品棚、共通の人材で提供する形にまとめる。柱は三井住友銀行が日興の取扱商品を提案できる金融商品仲介の拡充である。
これまでの銀証連携と何が違うのか。三井住友FGリテール事業部門長の上村明生氏の説明はこうだ。「連携ではなく、より融合を進めていくという考え方だ」
融合はまず店舗に表れる。SMBC Wealth吉祥寺は三井住友銀行の店舗を改装したもので、銀行が運営する。
「家族も含めて、ゆったりしたスペースで相談してもらう。普通の銀行や証券とは違う空間で相談できることが、違うサービスだと思う」(上村氏)
同じ形の拠点は大阪・梅田にもあり、店舗改装の機会に順次増やす。
店を共通にしても、担当者の名刺や提案の根拠が会社ごとに違えば、顧客にとっては別々の会社のままだ。そこで名刺のデザインを統一し、グループ共通の市場見通しなどを記した定期刊行物の「CIO's View」と、各社資産も含めてポートフォリオを分析する「PRM Prime」を、どの会社の担当者も使うようにした。
商品も同じ理屈で付け替えた。銀行の窓口で提案できる商品が窓販(銀行が自ら販売会社となり、銀行の口座で投資信託などを売る仕組み)で扱うものに限られれば、同じ道具で分析しても提案は会社ごとに分かれる。
上村氏は「窓販は窓販で銀行もやるというよりは、リソースを日興証券に集中して、それを銀行でも活用するほうが効率的だ」と話す。銀行の金融商品仲介を広げ、日興と同水準のラインアップを銀行のチャネルで提案できるようにした。
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