なぜ三井住友は新店舗で「銀行名」を外したのか? 「富裕層100万人」を囲うSMBC融合の正体(2/4 ページ)
10月26日に開業した「SMBC Wealth吉祥寺」は三井住友銀行の店舗を改装した拠点だが、掲げた看板は銀行名でも証券会社名でもなく、SMBCグループの富裕層向け共通ブランドだ。銀行・証券・信託のどの顧客も、ここでグループの担当者に相談できる。三井住友フィナンシャルグループ(FG)が目指すのは、各社が協力し合う従来の「連携」ではなく、看板も店も商品棚も人材も一つにする「融合」。その狙いと背景とは?
銀行の担当者が日興の口座を勧める 窓販より仲介に寄せた計算
SMBC Wealthの取り組みでは、三井住友銀行の担当者に運用を相談すると、日興の口座を開いて、そこで株式などを買う提案を受けるようになる。
担当者が提案できる国内投資信託は、9月時点の約230銘柄から10月に約860銘柄へと約4倍に増え、債券も3月時点の約50銘柄から約200銘柄になった。銀行が新しい商品を仕入れたからではない。SMBC日興証券の取扱商品を、銀行の担当者が金融商品仲介(銀行の担当者が証券会社の口座開設と売買を取り次ぐ仕組み。顧客は証券会社の口座で同社の取扱商品を買う)で提案できるようにしたからだ。
仲介の対象はこれまでファンドラップ、外国債券、事業債(企業が発行する社債)に限られていた。10月から国内投信と公共債(国債・地方債など)が加わり、今後は株式と外国投信も対象にする予定だ。株式まで銀行の担当者が仲介する形について、上村氏は「国内ではあまり例がないと認識している」と話す。
銀行が仲介で株を扱うこと自体は、ネットではすでにある。三井住友銀行も個人向け総合金融サービス「Olive」を通じてSBI証券の国内株を取り次いでおり、三菱UFJ銀行も三菱UFJモルガン・スタンレー証券の仲介で株を扱う。ただし三菱UFJ銀行は、通常の上場株式の売買注文を銀行の窓口では受け付けていない。対面の担当者が株まで提案する点で、今回の形はネットの取り次ぎと異なる。
窓販から、なぜ仲介に軸を移すのか。上村氏は「仲介ができなかったというよりは、窓販の解禁以降、ずっと銀行では窓販でやってきた」と話す。その上で「機能的には、資産運用に関しては日興に集約していく」。銀行の顧客から見れば、銀行の担当者を通じて日興の口座で商品を買う形になる。
ただし、銀行と日興の間には銀証ファイアウォール規制(個人顧客の非公開情報を共有するには、原則として事前同意がいる規制)がある。上村氏は「ファイアウォール規制が前提で、お客さまからの同意は当然取っていく」と話す。看板と店と棚を一つにしても、この同意の手続きは残る。
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