タカラジェンヌ→「宝塚ホテル」支配人に マネジメントに生きた「劇団で培った2つの力」とは?(3/4 ページ)
「ビジネス知識ゼロ」で宝塚ホテルの支配人に就任した元月組組長の憧花ゆりの氏。専門用語に戸惑いながらも、約300人の組織の中でリーダーシップを発揮してきた。その根底にあるのは、指示の伝言ゲームを防ぐ「日々の雑談」と、信頼を保つために「自分自身のパフォーマンスを死守する」という劇団時代の組織感覚だ。個性の強い集団を一つの目標へ動かす、元タカラジェンヌの型破りなマネジメント論に迫る。
観劇後の「切ない落差」を埋める 「夢のつづき」をどう作る?
宝塚ホテルが提供するのは「夢のつづき」というコンセプトだ。観劇を終えたファンが、日常という現実に戻る際の「切なさ・虚しさ」という感情の落差を、憧花氏自身が深く理解している。
「終演直後のお客さまは幸せで胸がいっぱいですが(宝塚ホテルの横にある)『花のみち』を歩き、帰りの電車に乗って家へ向かううちに、だんだんと現実に引き戻されて虚しい気持ちになる。私自身も舞台に立っていた側ですが、帰り道ってどこか寂しかったり虚しかったりしたんです(笑)。その落差を和らげ、夢の時間をもう少しだけ延ばす場所が、このホテルの役割なんです」
宝塚大劇場から徒歩数分の場所に立地するオフィシャルホテル。だからこそ、客室やギャラリーといったハードとソフトの両面で宝塚歌劇の世界観を引き続き感じさせ、その中に浸ってもらう。ファンの熱量を維持する仕組みを、ホテル内の随所に施しているのだ。特に、2025年に4室増設した、舞台衣装や舞台写真を展示する「レビュールーム」は人気を博していて、稼働率100%の客室もあるという。
「増設したレビュールームでは、最初は『コメディの部屋』や『ヒゲ(の役)の部屋』などを作ろうかという面白いアイデアも出たのですが、最終的には『5組のトップスターが並ぶ夢の競演を感じられる部屋』『男役の象徴である燕尾服の装いでクラシカルな美しさを堪能できる部屋』といったテーマに絞りました。加えて、当ホテルは全室で宝塚歌劇の専門チャンネルやオンデマンドを見られるようにしています。宿泊されたお客さまが『ホテルに泊まったはずなのに興奮して夜ずっと寝られなかった!』とおっしゃることもあります(笑)」
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