「L change the WorLd」+D Style 最新シネマ情報

» 2008年01月24日 14時40分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo (c)2008「L」FILM PARTNERS (c)2008「L」PLOT PRODUCE

 前後編で興収80億円を記録した「デスノート」の大人気キャラクター、Lを主人公にしたスピンオフ。

 「デスノート」後編で夜神月に殺される前に自分の名前をノートに記したL。これにより余命23日となった彼は、キラ事件解決後も、次々と舞い込む仕事をこなしながら、最期の時を静かに待っていた。

 そんな中、タイの小さな村で史上最悪のウイルスが発生。感染者の血液だけを採取して、村は何事もなかったように焼き尽くされるが、ひとりの少年だけが生き延びる。少年が必死の思いで電話をかけると、Lのもとへとつながる。一方、その殺人ウイルスはウイルス学者の権威・二階堂のもとに持ち込まれ、抗ウイルス薬の開発に成功。ところが、抗ウイルス薬を狙うテロリストに襲撃され、彼は非業の死を遂げる。父の壮絶な姿を目撃してしまった娘もまた、Lのところへ身を寄せるのだった。鍵を握る少年少女を守りながら、Lは事件解決に挑む。

 監督は「リング」で一世風靡した中田秀夫。「ザ・リング2」でハリウッドデビューを果たしたジャパニーズホラーの第一人者だ。タイでロケを敢行し、クライマックスは空港を借り切るなど、スケールは前2作を上回り、「アウトブレイク」を思わせるパニック・アクションのようだ。

 ワタリ(藤村俊二)はもちろんのこと、南空ナオミ(瀬戸朝香)やFBI捜査官レイ(細川茂樹)、弥海砂(戸田恵梨香)、そしてリューク(中村獅童)と夜神月(藤原竜也)も少しながら出演するというサービスも。

 だが、前2作にあった緊迫感とは無縁。どう見てもFBI捜査官には見えないナンチャンこと南原清隆に大仰なウイルス学者の秘書・工藤夕貴、あまりに激しい死に様で笑いがこみ上げてくる鶴見辰吾。あくまで前2作とは切り離して、良くも悪くも完全オリジナルストーリーということを念頭に見たほうがいい。まあ、それがスピンオフとして正しい姿かもしれないが……。

 ただし、今回もLそのものになっていた松山ケンイチを堪能するには申し分ない作品だ。無類の甘党をここでも発揮するL、子供は苦手のはずが懐かれて困惑するL、ワタリのいない部屋を飛び出して自転車を乗りまわすL、背筋を伸ばして新しい世界を見ようとするL、とにかくL、L、Lのオンパレード。デスノート事件解決の代償に背負った、23日間という命の期限を全うする彼のいろんな表情が映し出されている。Lファンは必見。

photophoto

(c)2008「L」FILM PARTNERS
(c)2008「L」PLOT PRODUCE

L change the WorLd

監督:中田秀夫/脚本:小林弘利

出演:松山ケンイチ、工藤夕貴、福田麻由子、高嶋政伸、鶴見辰吾

2月9日より全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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