HDアニメーションの可能性に期待――「エクスマキナ」荒牧監督インタビュー(3/3 ページ)

» 2008年03月12日 13時30分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
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――今回、スタンダード・エディションと4枚組のプレミアム・エディションがリリースされますが、特典について特にこだわったところはどこですか?

荒牧監督: 尺の長さの問題でカットせざるを得なかったシーンがありまして、その未公開シーンをいくつか収録しています。完成品ではない途中のアニマティクスと呼ばれる状態ですが、主人公たちの、ちょっといいシーンなので、ぜひご覧ください。今思えばカットしなければ良かったかな(笑)。

――絵コンテ集もボリュームありますね。

荒牧監督: これでもほんの一部なんですよ。実は製作過程を見られるのは好きではないので、絵コンテを封入するんだったら言い訳も含めて書かないと、ということでコメントも書かせてもらいました。

――格闘シーンのモーションキャプチャーも凄いですね。全部生身のトレースだとは思いませんでした。

荒牧監督: 完成画面とモーションキャプチャーのシーンが対比して見られるようになっています。格闘シーンは、アクションコーディネーターの方に先にアクションの動きを作ってもらい、モーションキャプチャーしているのを、僕が横で見ながら絵コンテを描くという非常に不思議な作業でした。

――顔面に蹴りが思いっきり入っていましたよね(笑)。

荒牧監督: そうなんですよ(笑)。アクションを組み立ててくれた小池さんという方がリアリティにとてもこだわる方で、本当に蹴ったり殴ったりしないと痛さが伝わらないよね、と(笑)。

――モーションキャプチャーを使う面白さは何ですか?

荒牧監督: 役者の方自身でもシーン、キャラクターに合わせた演技を考えてくださるので、当初想定した絵コンテとは違う動きになったりするんですよね。現場でどっちを選択するかという試行錯誤もふくめ、それはアニメを作っているだけでは出来ない面白さですし、なにより画面から伝わってくるライブ感が違うと思います。

photo (C) 2007士郎正宗/青心社・EX MACHINAフィルムパートナーズ

――今回、HD DVD本編も特典ディスクについていますよね。質感を重視するということを考えると、HD(ハイデフ)アニメーションにいきつくと思いますが。

荒牧監督: そうですね。ここまでこだわった作品ですから、DVD化のときにはHDでも見られるようにしてほしいと、僕のほうからもお願いしていました。それがたまたまHD DVDだったというだけで。HD DVDの映像は、僕らが作っていたのはこれだよな、という気はしますね。キャラクターはもちろん、背景の見え方、例えば夜の街の明かり具合などの完成度が高いですよ。DVDとHD DVDを見比べて、これが本物だ、と感じてください。

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――BD化についてはどうですか?

荒牧監督: アメリカではHD DVDとBDの両バージョンがリリースされます。でも、未公開アニマティック映像は日本のHD DVD版のみの特典なんですよ。しかもピクチャー・イン・ピクチャー機能付き。これは貴重です。

――HDアニメーションという独自のジャンルの可能性を感じましたか?

荒牧監督: その可能性にかけている、というのが正直な気持ちですね。カメラが自由であったり、ライティングが自由であったり、思ったものがそのまま映像化できるという楽しさ。自分が感じている面白さをもっと人に伝えていきたいと思っています。

photo (C) 2007士郎正宗/青心社・EX MACHINAフィルムパートナーズ

――最後に、これからソフトをご覧なる方にメッセージを。

荒牧監督: キャラクター、そして細かい背景まで作りこみました。何度見ても色んな発見ができる作品だと思います。一度はストーリーを追っていただいて、あとは止めたり、スローで見たり、コマ送りにしたり、少々つらいですが何でもOKです(笑)。隅々まで楽しんでください。

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