コラム
» 2008年08月06日 09時16分 公開

クロノ(時間)&グラフ(記録する)=クロノグラフ+D Style 時計探訪(1/2 ページ)

メカ好き少年の心を持つ者を魅了するクロノグラフ腕時計。ムーブメントの機構はより複雑さを増し、部品数も通常の約2倍に。作り手に高い技術力を要求するラトラパンテなど、“計測する時計”の魅力を考える。

[泰 仁,ITmedia]
photo タキメーターを備えたクロノグラフ

 「クロノグラフという言葉を聞くけれど、それってどんな時計なの?」という声をよく耳にする。「針がいっぱい付いている時計」、「文字盤に数字がごちゃごちゃ書き込まれている時計」とか、ざっくりととらえられてしまうこともあるけど、言葉の持つ意味のとおり「時間(クロノ)を記録(グラフ)する」――つまり、「経過した時間を計測する機能を持った時計」というのが正しい説明といえる。

 ということで、今回のテーマは「クロノグラフ」。

 なぜ腕時計に計測機能を持たせたのか? そこには近代、オリンピックをはじめ国際的なスポーツ競技が盛んに行われるようになり、その記録を正確に計測できる時計の需要が高まった、という背景があるようだ。当初はポケットウォッチに搭載されていたクロノグラフだが、腕時計が市民レベルで普及するのに伴い、付加価値のひとつとして一般の腕時計にも搭載されるようになった。

 そしてもうひとつの要因は戦争。第1次世界大戦以降、戦争で飛行機が重要なポジションを担うようになり、パイロットたちは正確な飛行時間を知る必要に迫られた。例えば、爆撃機の編隊に「45分後に目標地点の上空1000メートルで旋回し、30秒後に爆弾投下」という指令が出ても、正確に45分と30秒を計測できなければ戦果は得られない。こうして、クロノグラフは短期間に飛躍的な発展を遂げていったのである。

 では、われわれの生活でクロノグラフをいつどのように使うのかといえば……タキメーター装備のクロノグラフなら、乗っている車が赤信号で止まり、青になってスタートする瞬間にストップウォッチのスタートさせ、1キロ走った時点で計測をストップ。すると、その間の平均速度が分かる。別にそんなこと知らなくても困らない、という方には、不動産屋のチラシによくある「徒歩15分物件」のチェックとか、パスタを茹でる時間計測など、実用性の高い使用方法があるわけ……である。

 「それだけ!?」という声も聞こえてきそうだが、スタートボタンをカチッと押すとクロノグラフ針が動き出し、もう1度押すとピタッと針が止まり、さらにリセットボタンを押せば、瞬時に針は12時位置に戻る――まるで主人の命令に忠実な番犬のような頼もしさが、クロノグラフの魅力でもある。

 機能を実用的に使うシーンは少なくても、プッシュボタンを押した時に指に伝わる感覚、数値が複雑に書き込まれたダイヤル、びっしり部品が詰まったムーブメント(複雑機構を搭載するだけに部品点数は、一般的な時計の倍近く)など、メカ好きにはたまらない魅力が満載されている時計。それが、クロノグラフなのだ。


photophoto 左がアンティーク手巻きウォッチのムーブメント、右はアンティーク自動巻ウォッチに搭載されたムーブメント
photophoto そしてこちらが、アンティークのクロノグラフに搭載された手巻きムーブメント(左)。ストップウォッチや積算機能を備えるため構造は複雑に、そして部品点数も増える。モデルは、1950年代のユニバーサル・ジュネーブ「アエロコンパックス」。12時位置のインダイヤルはアポイント時間や現地時間を知る目安にするための時計で実際には作動しない(右)
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