クリスマス&お正月映画 注目7作、厳選セレクト!特集 寒さを吹き飛ばすホットムービー(2/3 ページ)

» 2008年11月25日 09時30分 公開
[ITmedia]
  • 「WALL・E/ウォーリー」
  • 「K-20 怪人二十面相・伝」 「ワールド・オブ・ライズ」
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「K-20 怪人二十面相・伝」 「ワールド・オブ・ライズ」
痛快ヒーロームービー「K-20 怪人二十面相・伝」

 日本人なら誰もが知っている江戸川乱歩が生んだヒーロー、怪人二十面相。北村想が怪人二十面相の真相に迫った原作を基に、まったく新しい痛快娯楽作としてよみがえらせたのが「K-20 怪人二十面相・伝」。

 舞台は、社会の格差が激しくなり、現在とはまったく異なる進化を遂げた日本、帝都。そこで富裕層のみを狙い、骨董品や美術品を鮮やかに盗むK-20こと怪人二十面相が世間を騒がせていた。ある日、サーカスの曲芸師・平吉(金城武)はK-20にはめられ、K-20に仕立てあげられてしまう。「オレは二十面相じゃないって!」といくら弁解しても認められず、警察や明智小五郎(仲村トオル)に追われる平吉。無実を証明するため、泥棒修行をスタートし、本物のK-20を見つけ出そうとする。

「K-20」01

 「明智小五郎といえば、やっぱり天知茂でしょう。個人的にこれは譲れない……」と本作への期待値は低かったけれど、食わず嫌いはいけませんね。ごめんなさい。K-20の正体は? といったミステリー、平吉 VS K-20のキレのあるバトル、鮮やかな盗みの手口、平吉と泥棒仲間との感動話など、エンタメ要素がてんこ盛り。正月映画らしく華やかで、痛快。続編製作も期待してます。

「K-20」02
金城武のハトさばき

 主演の金城武によって、ダークヒーローのイメージが強い二十面相が、二枚目半という新鮮なヒーロー像に生まれ変わった。さてジョン・ウー監督作「レッドクリフ Part I」、「K-20」と立て続けに出演作が公開となる金城武。まったくタイプの違う役柄を演じたが、実は2作品には共通点がある。それは彼が見事なハト使いということ。「レッドクリフ」にはジョン・ウー映画の代名詞ともいうべき白いハトがもちろん登場するが、金城武演じる孔明の伝書バトとして活躍し、重要な役目を担う。一方の「K-20」では曲芸で使うハトを我が子のように面倒を見ているという設定だ。見事なハトさばきを見せているので注目して。

壮大な帝都の世界

 物語は架空都市・帝都を舞台に展開する。監督は「アンフェア」やゲーム「鬼武者」のオープニングムービーを手掛けた佐藤嗣麻子。VFXは「ALWAYS 三丁目の夕日」の白組が担当。帝都には「三丁目の夕日」で印象的だった東京タワーに似た建物がシンボルとしてそびえ立つ。人情味豊かな長屋と高層ビルが共存し、SLが街を走るといった、何とも味のあるレトロ・フューチャーな世界観が秀逸だ。とくに街の全貌が見渡せるオープニングは感動もので、ここだけでも一見の価値あり。

「K-20」03

「K-20 怪人二十面相・伝」

2008年日本
東宝配給
12月20日より全国公開
http://www.k-20.jp/

CIA工作員が見せる緊迫の駆け引き「ワールド・オブ・ライズ」

 レオナルド・ディカプリオとラッセル・クロウが共演、中東のテロリストを追うCIA工作員の奔走を描くサスペンス・アクション大作。元ワシントンポストのコラムニスト、デイヴィッド・イグネイシアスのフィクションを基に、リドリー・スコット監督がパワフルな演出で映像化し、スリリングなスパイ活劇に仕上げた。脚本は「ディパーテッド」でオスカーを受賞したウィリアム・モナハン。

 イラクに潜入中のCIA工作員フェリス(ディカプリオ)は、遠く離れたアメリカから携帯で指示を下す上司ホフマン(クロウ)の身勝手さにいらだちつつ、世界各地で爆弾テロを画策するイスラムの大物テロリストを追うが……。

「ワールド・オブ・ライズ」01

 面白いのは、危険を顧みず敵の懐に入り込もうとする現場主義のディカプリオと、首都ワシントンで内勤のクロウが、腹の探りあいをし、時に相手をだまして利用する関係にあるところ。身内であるはずのCIA内の駆け引きが作戦の成否を分けるのだ。

 テロに戦争と時事的な要素が盛り込まれた映画だが、映画そのものが政治的メッセージを発しているわけではない。現状をリアルに伝え、観客にその場に立ち会って、答えはそれぞれで見つけてほしいというスタンスだ。社会派とエンタメを融合し、128分、一気に駆け抜ける骨太な男性向けムービーである。

「ワールド・オブ・ライズ」02
レオナルド・ディカプリオ

 警察側のスパイ役だった「ディパーテッド」、元傭兵の密売人を演じた「ブラッド・ダイヤモンド」、そして今回は現場=イラクで危険にさらされながらスパイ活動を続ける工作員と、最近はハードな役がお好みらしい。ラッセル・クロウとは95年の西部劇「クイック&デッド」で共演済み。2人の火花散る攻防は緊迫感たっぷりだ。

ラッセル・クロウ

 現場の大変さを全く理解せず、アメリカからの遠隔操作で世界を動かそうとするCIA役のクロウ。リドリー・スコット監督とはよっぽど相性がいいのか、「グラディエーター」「アメリカン・ギャングスター」「プロヴァンスの贈りもの」に続いて4度目のコラボレーションとなる。監督のリクエストに応えて、20キロ以上も増量。相手を上目遣いでチラッと見るその仕草にイライラ。鼻持ちならない上司をさすがの演技力で熱演している。

「ワールド・オブ・ライズ」

2008年アメリカ
ワーナー・ブラザース配給
12月20日より丸の内ピカデリー1ほか全国公開
http://wwws.warnerbros.co.jp/bodyoflies/

取材・文/本山由樹子



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