コラム
» 2009年01月09日 15時23分 公開

「チェンジリング」+D Style 最新シネマ情報

突然の息子の失踪、5カ月後に発見された“息子”は赤の他人だった――実話を基にしたクリント・イーストウッド監督の力作「チェンジリング」。アカデミー賞が有力視されるアンジェリーナ・ジョリーの熱演にも注目だ。

[本山由樹子,ITmedia]
photo (C) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 今年のゴールデングローブ賞に主演のアンジェリーナ・ジョリーがノミネートされた「チェンジリング」は、実話を基にしたクリント・イーストウッド監督の力作である。

 時は1928年、シングルマザーのクリスティン・コリンズ(ジョリー)は電話交換手として自立した生活を送っていた。ある週末、彼女は急に仕事が入り、息子ウォルター(ギャトリン・グリフィス)を置いて職場に行くが、家に帰るとウォルターの姿がないことに気づく。半狂乱になって探し続ける彼女のもとに、5カ月後、「息子さんが発見された」という知らせが入る。喜びと不安の中、彼女の前に現れた少年は、どう見ても赤の他人だった。「この子は私の息子ではない」と、担当のジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)に訴え続けるが、自分たちの非を認めたくない警察は、クリスティンを精神病院に無理やり入れてしまい……。

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 それにしても当時の警察当局の横暴にはあきれ返るばかり。アンジェリーナ・ジョリーは最初、この映画の出演を断ったらしい。それも当然、この映画をきっかけに自分の子供に何かあったら大変だ。しかし、これを誘拐事件の被害者の物語ではなく、正義を闘い抜いた女性の物語として感銘を受け、多くの人に知ってほしいという責任感から引き受けたという。精神病院に送り込まれるくだりはジョリーがアカデミー助演女優賞に輝いた「17歳のカルテ」を思い起こさせるが、今回も母親の悲哀を見事に体現し、アカデミー賞も有力視されている。

 他のキャストもみんな上手いが、特に注目してほしいのがジョン・マルコヴィッチ。ヒロインを擁護する神父役で、いつになく役柄がストレート。怪優としてのイメージが強いが、もともと演技力があるのだから、こういう起用の仕方は映画ファンにとってはうれしいところ。

 「ミリオンダラー・ベイビー」「硫黄島からの手紙」とイーストウッドの監督作はいつも重い。今回も重いが、その熟練した演出に驚かされるとともに、単なるサスペンス・スリラーとしての枠を超えた映画としての完成度、一縷(いちる)の希望に賭ける人間の想いの大きさに圧倒される。1928年のロサンゼルスの街がリアルに再現された映像も必見だ。

 子供の失踪で幕を開け、母親のクリスティンが警察権力に抵抗し、それで終わるのかと思いきや、その後に意外な展開が待ち受ける。ネタバレになるのでこれ以上は書かないが、観ていて一瞬たりとも飽きることがない142分の大作、見応えある内容に本気で面白いと太鼓判を押せる作品です!

チェンジリング

監督・製作・音楽:クリント・イーストウッド

出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ、ジェフリー・ドノヴァン

配給:東宝東和

2月20日より日劇3ほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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