第21回 HDRをアプリでもっと楽しむ:荻窪圭のiPhoneカメラ講座(2/2 ページ)
そもそも純正カメラに搭載されている「HDR」だが、アプリで実現しているものは標準のモノとかなり毛色が異なる。絵画的な、印象的な写真を撮りたいなら使ってみるのも面白い。
HDR撮影アプリはいくつもあるけど、あとひとつだけ紹介する。
文字通り「HDR」という名前の最近出たアプリ。よくこんなそのものずばりの名前が残ってたなというか、もうちょっと差別化しやすい名前はないのかというか。このアプリの良さは使いやすくてシンプルなこと。HDR Camera Proとは真逆のアプリだ。
で、仕上がりはこんな感じ。
かなり絵画的になった。
このアプリは操作が分かりやすいので、もっとHDRっぽいのを撮ってみたいと思ったらオススメ。
なにしろシンプルである。
何もしないで撮影するとオートモードでアプリが勝手に明るいカットと暗いカットを撮ってくれるし、画面をタップすると2つの丸(太陽と月)が現れるので、太陽を明るい場所に、月を暗い場所に合わせてやればそこに合った明るさの2枚を撮ってくれる。
撮影が完了したら4種類の仕上げを比較して一番気に入ったものを使えばいい。保存時に「オリジナルも保存」を実行すれば、「暗い写真」「明るい写真」「HDRした写真」の3枚が保存される。オリジナル写真が残っていればあとからアプリでHDRしなおすこともできる。
で、できあがりがこれ。かなり大きな明暗差をとらえてくれた。
ちなみに、純正カメラのHDRだとこうなる。
このように明るい空と暗い森や建築物という組み合わせの風景でよく効くのだ。もうひとつ、窓のある室内もいい。室内は暗く、窓の外は明るい。HDRで撮れば両方を一度にとらえられる。
こんな感じでたくさんあるHDRカメラアプリから3つをピックアップしてみたが、純正アプリと比べて気をつけねばならない点がひとつある。手ブレである。
純正アプリのHDRは一瞬で高速連写を行う。3枚連写して合成しているが、連写にかかる時間はだいたい0.1秒くらい。だからちゃんと構えて撮れば合成時のズレは生じない(被写体が動いてるときは別だが)。
その点、サードパーティのHDRアプリは純正アプリほど高速連写ができないため、比較的高速な「HDR」でも0.8秒、遅いアプリでは1〜2秒かかる。だから手持ちで気楽に撮るというわけにはいかないのだ。ただ、アプリを使えば純正HDRとはひと味違う、こってりしてより大きな明暗差を楽しめる写真を撮れる。ハマるとけっこう楽しい。
三脚を使うか(ミニ三脚でもOK)、どこかにiPhoneを置いて固定するかすべし。宣伝じゃないけど、わたしは最近、マンフロット「KLYP」を使ってる。
なお、AppStoreで「HDR」と検索すると膨大なアプリが該当する。その中には、1枚の写真からHDRを作れるというアプリもあるので注意したい。あれは「HDR写真っぽく画像加工する」アプリであり、本当に明暗差が大きなシーンをちゃんと撮りたいなら、複数枚撮影して合成するアプリを選ぶこと。それがよいかと思う。
今週の小技:あとからHDRをかける
HDRカメラアプリはたいてい、撮影時のみならず、あらかじめ撮影しておいた(明暗差のある)写真を読み込んで、HDR画像にする機能を持っている。
例えば純正カメラで、明るいところに合わせた写真、暗いところに合わせた写真を撮っておいて、HDRアプリにかければいつでも合成してHDR化できるってわけだ。でもその写真がズレていたらダメ。三脚を使うなど、しっかりiPhoneを固定して撮ったものであることが条件だ。
で、考えてみたら、ちょうどそういう写真が手元にあった。第16回( 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第16回 iPhone 5ケース「KLYP」+三脚を使って夜景を撮る )で、三脚を使って撮った写真があるではないか。
というわけで、それをTrue HDRにかけてみた。
この2枚を「TrueHDR」に読み込んで、Retroフィルタをかけてみた。
そして結果がこれ。
エレベーターをのぼってる人がゴースト化しているけれどもまあ、動いてる人がはいるとしょうがないということで、これで明るい吹き抜けも暗い夜景もなんとか一緒におさまった。
こってり風景を撮りたい人はぜひHDRアプリを。
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