第23回 Snapseedで写真を派手に!:荻窪圭のiPhoneカメラ講座
iPhoneで撮った写真にフィルタをかけるのは珍しいことじゃないけど、「Snapseed」にはこれはっていう特徴的なフィルタがたくさんある。「ドラマ」やレトロ系など、代表的なモノを紹介してみるのだ。
今回はフォトレタッチアプリ「Snapseed」(AppStore)の後編。
基本レタッチ編は前編(荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第22回 SnapSeedで学ぶ、iPhone写真レタッチの基本)を見ていただくとして、ここではまず「Snapseed」がその名を(一部に)とどろかせることになったフィルタから見ていくのだ。
それは「ドラマ」である。もうこれで遊ぶため、このアプリを常用しはじめたといって過言ではないくらいのデキなのだ。
「DRAMA」フィルタで世紀末っぽく
オリンパスが同社のPENシリーズに「アートフィルタ」というデジタルフィルタをかけながら撮影するモードを搭載して話題になったはもう何年も前だが、その第2弾だか第3弾だかで「ドラマチックトーン」というフィルタが追加されたのである。
平和な風景が一瞬にしてドラマティックに……空から恐怖の大王でも降りてきそうな重たい雰囲気に一変するそのフィルタは一部で大人気となったのだ。ああいうフィルタがあったら面白いだろうな、というところにSnapSeedが登場したのである。
これを使うと何が起きるか。とりあえず、わかりやすい海辺の風景で見てみる。
元の写真を開いたところ。なんてことない海辺。薄く雲がかかってて、今ひとつ暑さが足りない。で、基本的なレタッチを施したら「DRAMA」を実行する。するとこうなる。
★印をタップすると、6種類の「ドラマ」が用意される。ドラマ1と2は標準的なドラマフィルタ。あとは明るめ2つ、暗め2つといった感じで、2の方が強くかかるのだ。
で「ドラマ2」をかけてみる。
普通のなんてことない青空だったのに「もうすぐゲリラ豪雨がくるぞー、逃げろー」的な感じに。
こういった各フィルタに対して「強度」と「彩度」をコントロールできる。コントロールの仕方はSnapSeedの作法そのままで、画面上で指を上下に動かして項目を選んで左右に動かして強さを選ぶ。
ここで彩度をめいっぱい上げてみた。
彩度を落として色味を弱くすると不気味な感じになり、彩度を上げるとこってりコテコテになるわけだ。より不気味に「よからぬことが起きそうな雰囲気」にするには暗め(濃い1か濃い2)のフィルタにするといい。
こうなったらさっさと家に帰るがよしって感じですな。
一般にドラマフィルタは「空」に対して派手に効果がでる。
遠くにぼんやり見えたゲリラ豪雨の様子もドラマフィルタをかけると、空からどしゃっとバケツをひっくり返した感じが強調されておそろしいことに。
ドラマフィルタのくっきりさせる作用をうまく使えば、ゲリラ豪雨のあと、遠くにぼんやり見えた虹もこってりくっきりになる。ちなみにドラマフィルタをかけてはじめて虹が二重だったことに気づいた次第です。
分かりやすいので空ネタを連発したけど、もちろん日常的な写真にかけてもOK。印象的な写真に仕上げることができる。でも料理写真にはかけない方がいいかな。とりあえず美味しそうにはなりません。
ヴィンテージとグランジとレトロ
お次のフィルタはレトロ系というかヴィンテージ系というか、そういう系統。
ややこしいことに「VINTAGE」(ヴィンテージ)、「RETROLUX」(レトロ)、「GRUNGE」(グランジ)と似ような印象を与えるフィルタが3種類ある。どれも古い昔風の写真にするのだが、テイストがちょっと異なる。
同じ写真をそれぞれのフィルタにかけてみる。
まずはヴィンテージフィルタをかけてみる。
年代物の写真風に仕上げてくれる。手順はこんな感じ。
続いてレトロフィルタ。
ヴィンテージは文字通り「年代物」であって、何10年も前にきちんと撮ってきちんと保管されてた写真が発掘されましたというちょっと上品な感じ。レトロはもうちょっと無造作に、昔撮ったまま無造作に保管されててそれが見つかったという感じ。漏れ光効果がポイントか。よく見ると表面にひっかき傷もあるなど妙にリアル。
最後はグランジ。グランジは汚れを追加するもの。これが一番、発掘感あふれる写真になる。
汚すときのテクスチャのバリエーションがすごく多いので、指で左右にスライドしながらリアルタイムで効果をチェックして、これよさそう、ってのを選ぶといい。上の例では分かりやすいよう、テクスチャを強めにかけてみた。
では結果を見比べてみる。なるべくシンプルな構図の写真にかけたほうが効果的かと思う。
チルトシフトでジオラマ写真
チルトシフトより「ミニチュア効果」や「ジオラマ効果」の方が知られているかも。風景をミニチュア風にしちゃうフィルタで、それ専用のアプリもあるし、この機能を持つデジカメも多い。
Snapseedも「TILT-SHIFT」という名前でこの機能を持っている。これはシンプルで面白いのでさっそく使ってみる。簡単にいえば、一部をくっきりさせそこから離れるに従ってボカすことで、ミニチュア写真のように見せるという技。
他にもフレームをつける、ヴィネットをかける、様々なモノクロ写真にするなどSnapseedは多くのエフェクト機能を持っているんだけれども、ここでは代表的なものだけをあげてみた。
夏休みに出かけたはいいけど天気が悪かった……思い切りドラマチックにしちゃえ、薄曇りで今ひとつ夏っぽくなかった……思い切りコッテコテの空にしちゃえ、夏休みが終わったら会社かぁ行きたくないなあ……レトロ調の遠い思い出にしちゃえ、てな感じで夏の終わりをSnapseedのエフェクトで締めくくるのも一興かと思います。
ともあれ、イチオシのフォトレタッチアプリなのは間違いないのであります。
関連記事
- 「荻窪圭のiPhoneカメラ講座」バックナンバー
- 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第22回 SnapSeedで学ぶ、iPhone写真レタッチの基本
撮った写真がそのままベストならよいが、ちょいとひと手間加えるだけで見違えることも多い。そこでレタッチの出番である。今回は「Snapseed」でレタッチの基本を確認しよう。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第21回 HDRをアプリでもっと楽しむ
そもそも純正カメラに搭載されている「HDR」だが、アプリで実現しているものは標準のモノとかなり毛色が異なる。絵画的な、印象的な写真を撮りたいなら使ってみるのも面白い。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第20回 iPhoneでデジタルズームを上手に使う
デジタルズームといえばあまり積極的に使わないようにという風潮だけれど、ズームする、つまり焦点距離が変われば写真の写りも変わる。「近くのモノをカタチ良く撮る」時にも有効なのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第19回 本格派カメラアプリを使ってみよう お勧めアプリ4選
App Storeで見ると分かるけれど、iPhone用カメラアプリって数がとても多い。今回はその中で「本格派カメラアプリ」といえるものに注目、独断と偏見で4つを選んでみた。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第18回 グリッド線はなんのためにある?
簡単にオンオフできる割に使われていない感じのする「グリッド線」。水平と構図の決定には便利なので是非とも使ってみよう。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第17回 LEDライトを使ってライティングを楽しんでみる
マンフロットのiPhoneケース「KLYP(クリップ)」には、LEDライトの付属するパッケージがある。せっかくなので、LEDライトを使ってiPhoneでの撮影でもライティングにh一工夫してみよう。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第16回 iPhone 5ケース「KLYP」+三脚を使って夜景を撮る
マンフロット社の「KLYP(クリップ)」はけっこう気に入っていて常用している。せっかくなので、夜景も撮りたい。というわけで、いろんな場所で試してみた。あと、KLYPにはLEDライトが同梱されているので、これも使ってみた。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第15回 iPhoneを三脚につけるのは意外に簡単で効果的
失敗写真の大半は手ブレで起こる。その対処法のひとつとして挙げられられるのが三脚の利用だ。三脚というと大げさなイメージだけれど、軽くて小さい、ポケットサイズのものもあるのだ。 - マンフロット、LEDライトや三脚などで本格撮影を楽しめるiPhone5ケース「KLYP」
マンフロットはLEDライトや三脚など装着可能なiPhone用ケース「KLYP」(クリップ)のiPhone 5対応版を発売する。iPhone写真でのフォトコンテストも開催する。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第14回 デジカメユーザー的視点によるiPhoneカメラQ&A 15連発
この連載ではここまでiPhoneカメラの活用の話を中心にしてきたのだけど、今回はちょっと趣向を変えて、カメラ性能・機能そのものの話。15のQ&Aでお送りします。( - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第13回 上手な自分撮りをするために
さすがにやらんわーという声もあるであろうインカメラでの自分撮りだけど、ちょっとしたコツで自分の顔が見違える。ひとに教えてあげる機会があるかもしれないしね。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第12回 写真に位置情報をつけるリスクとその回避
iPhoneはGPSを内蔵してるので、撮った写真に位置情報をつけられる。あとから見直したり写真を探すのに便利な位置情報だけど、不用意に出さない方がいい情報でもある。そこで今回は位置情報とのつきあい方を考える。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第11回 iPhoneでパノラマ写真を撮ろう! 応用編
結構アバウトに撮っても上手にとれて、非常にいい感じなiPhoneのパノラマ写真。だけれど、きれいに仕上げるため、知っておいた方がいいポイントもある。今回はそのあたりのお話を。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第10回 iPhoneでパノラマ写真を撮ろう! ベーシック編
デジカメではおなじみのパノラマ撮影機能はiPhoneにも用意されている。結構アバウトに撮っても上手にとれて、非常にいい感じなのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第9回 iPhone動画で気をつけるべきアレコレ
カメラ講座ってことで写真の話をしてきたが、iPhoneのカメラを使えばフルハイビジョン動画も撮れる。動画と静止画(写真)では気をつけるところが違うので、ちょっとそのあたりの話を。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第8回 内蔵ライトのカシコイ使い方
iPhoneカメラのレンズ横にはLEDライトがついてる。標準ではオンオフが自動なので、あまり意識しないかもしれないが、オンオフを意識的に使い分ければよりいい感じの写真が撮れるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第7回 デジタルズームはどこまで使えるか
デジカメにあってiPhoneにないものは「ズームレンズ」。困ることは少ないけど、時として、もっとでかく撮りたいって思うことがある。そんなときのために「デジタルズーム」機能があるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第6回 電車を撮ると歪んで写る理由とその対策
電車の中から景色を撮ったり、外から電車を撮ったりすると、景色や電車が歪んでしまうことがある。これはCMOSセンサー特有の現象で、スマホのカメラでは原理的に避けられないのだ。これ、本当に避けられないのか。いや実は、ひとつ手があるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第5回 iPhoneで撮った写真を見る/送る/消す
iPhoneカメラの起動〜撮影の基本的な話は一通りやったかなと思うので、今回は少し気分を変えて、主に「写真を見る」ための話をしておこうかと思う。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第4回 “連写+合成”ができるHDR撮影を活用する
iPhoneに限らず、スマホやデジカメの撮像素子はとても小さいので、一度に取り込める光の量が少なく、ちょっと光が多いと明るいところが真っ白になり、暗いところがつぶれてしまう。そこで活用したいのが「HDR」なのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第3回 “露出補正”を活用して最適な明るさで撮る
手ブレ→ピンボケときたら、次は明るさ。iPhoneで撮影してみたものの、イメージよりも暗すぎる、またあ明るすぎることはよくある。でも、これはiPhoneカメラが備えている“露出補正”を活用することで解消できるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第2回 これでピンボケ写真とおさらば――AFをうまく活用する
iPhoneでうまく写真が撮れない人の多くは手ブレが原因だけど、ほかに「ピンボケ」もあると思う。じゃあどうすればピンボケを防げるのかというと、被写体が画面に収まる位置や、被写体との距離などが重要になってくるのだ。 - 荻窪圭のiPhoneカメラ講座:第1回 カメラの起動方法/手ブレを抑える構え方
今最もよく使われているデジカメは「iPhone」ではないだろうか。というわけでiPhoneカメラ講座、始めます。まずは超基本だけどカメラの起動方法と、手ブレを抑える構え方から。撮影に役立つ小技もあります。 - 荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:iPhone 4Sから着実にレベルアップ――「iPhone 5」のカメラをねっとりと試す
iPhone 5が発売された。カメラの画素数はiPhone 4Sと同じ800万画素だが、iOS 6になったことでパノラマ撮影が利用可能になった。ではハードウェアに依存する処理速度や画質はどうか。iPhone 4Sとの作例も交えながらiPhone 5のカメラ性能をチェックした。 - 荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:機能はシンプルなまま、画質はトップクラスに――「iPhone 4S」
ついに発売された「iPhone 4S」。見た目はiPhone 4と変わらないが、デュアルCPUやより高画素な800万画素CMOSカメラを搭載するなど、ハードウェア性能が強化されている。加えてiOS5により、カメラの使い勝手も向上した。その実力をさっそくチェックした。 - 荻窪圭のケータイカメラでこう遊べ:iOS 4.1でiPhone 4に追加された「HDR撮影」機能とは?
iOS 4がiOS 4.1にアップデートされ、「iPhone 4」のカメラに新たに「HDR撮影」機能が用意された。HDRは、iPhone 4のカメラ機能をさらに強化する。HDRを使うとどんな写真が撮れるのか、どんな風に使いこなすのがいいのかを紹介しよう。 - 荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:圧倒的によくなったカメラ性能――「iPhone 4」
iPhone 4のカメラは、絵作りが根本的に変わり、大きな画質向上を果たした。これは画素数が300万から500万に上がったことよりも大きな変化で、iPhone 4のカメラは他のケータイと比べても十分満足行くレベルに仕上がっている。 - 荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:「次元が1つ違う」――進化した「iPhone 3GS」のカメラ
「iPhone 3GS」のカメラはスペックの進化もさることながら、“起動→撮影→保存→活用”という総合的な使い勝手が素晴らしく、「多機能と高機能は違う」ということを感じさせる仕上がりだ。「iPhone 3G」との作例比較や動画作例も交え、ファーストインプレッションをお届けしよう。 - 荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ:笑っちゃうほど何もないシンプルカメラ、ピントの合う範囲が独特──「iPhone 3G」
“おまけ”とか“しょぼい”とも言われるiPhone 3Gのカメラ機能だが、実際のところはどうか。いくつかのシチュエーション別に撮った作例を中心に、改めて使い勝手や特有の「クセ」、ケータイ宛てに写真を送る方法などをチェックしていく。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.