「OLYMPUS OM-D E-M1」第3回――望遠マクロレンズで楽しむ大人の休日:長期試用リポート
豊富な種類の交換レンズが揃っていることは、マイクロフォーサーズの魅力のひとつ。「OM-D E-M1」リポートの第3回は、小型軽量で使い勝手に優れたマクロレンズを試してみた。
安定したホールド性と心地よいレリーズ感覚
全3回の予定で始まった「OM-D E-M1」長期レポートは今回でひとまず最終回である。約2週間に渡って試用した感想をひと言でまとめるとすれば、操作感が非常にいいカメラだということ。少々地味な結論だが、これが本音である。E-M1にはさまざまな技術や機能が盛り込まれているが、最終的にいちばん気に入った点は「使い心地のよさ」ということになる。数値には表れない部分に魅力があるのだ。
・長期試用リポート:「OLYMPUS OM-D E-M1」第2回――600ミリ相当の超望遠で切り取る秋景色
・長期試用リポート:「OLYMPUS OM-D E-M1」第1回――色にこだわって紅葉を撮る
大型グリップがもたらすホールド性のよさは前回述べた通りだが、快適な操作感はそれだけではない。シャッターボタンを押した際の感触やレスポンスの速さ、小さなレリーズ音、ソフトなシャッターショックなども操作の心地よさにつながっている。
既存モデルE-M5と比べた場合、撮影直後に液晶がブラックアウトする時間が短縮したことや、液晶表示がいっそう大きくクリアになったこと、各種の操作ボタンが大型化して押しやすくなったこと、AFのスピードアップなども見逃がせないポイントだ。さらに、液晶のチルト可動を行うと、EVFとの自動切り替えがキャンセルされるようになったことや、好きな設定の組み合わせをモードダイヤルに登録できる「ダイヤルマイセット」への対応など、操作の細かい部分にも、さまざまな配慮と工夫が凝らされている。
大きな玉ボケが味わえる等倍マクロレンズ
画質については、E-M5と比較して劇的に変わったというほどではない。特にRAWで撮影した場合は、両者の差は小さい。ただ、だからといってE-M5で満足できるかと問われると、ハイとは言えない。E-M1の快適な操作感をいったん体験すると、もうE-M5には戻れないと感じてしまうのだ。
それくらい気に入ったE-M1だが、強いて改善要望点を挙げるとすれば、メニュー画面の構成だ。カスタムメニューが非常に豊富なのはいいが、あまり必要のない項目もあり、煩雑な印象を受ける。また内蔵ストロボがないため、外部ストロボをワイヤレス発光させるためには、付属の小型ストロボをいちいち装着する必要があるのは面倒だ。
レンズに関しての満足度は高い。レンズキットに付属する新しい標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」は操作感と描写力が優秀で、オールマイティに役立つ。そのほかにも魅力的な交換レンズが数多く用意されていることは、他社のミラーレスカメラに勝る、マイクロフォーサーズシステムの大きなアドバンテージといっていい。
そんなよりどりみどりの交換レンズ群の中から、今回使ったのは中望遠のマクロレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」だ。35ミリ換算で120ミリ相当の焦点距離を持ち、適度なワーキングディスタンスを保ちながら最大で等倍までの接写が行えるレンズである。
写りは、開放値からシャープネスの高い描写となり、各種の収差は目立たないように低減されている。ボケの表現力も良好で、開放値から2/3段絞り込んだF3.5の状態では、画面の端にある光源もきれいな玉ボケとして表現できる。マクロ以外の風景やポートレート用にも活用するのもいいだろう。前述のキットレンズを入手したら、その次に是非お勧めしたいレンズの筆頭候補である。
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