本大好き司書メイドの好感度を上げ、年に一度のデート権を得るべく繰り広げられるメイドたちのラブアタック。今日、司書見習いのサヤがやってきましたよ。今日、手にしているのはどの本でしょうか……。
この街の片隅に、メイドが営む私設図書館がありました。そこには書架を守る司書メイドがいます。ほんわりおっとりした司書メイド・ミソノに、淡い思いを抱くメイドもいるようです。
司書メイドの好感度を上げようと、お気に入りの1冊を持って、やって来るメイドもいますし、ミソノのお気に入りを知りたくてやって来るメイドもいます。
本当にいい小説って何回も読み返そうと思えるものだと思いませんか?
ふむふむ、一理ある定義かもしれませんね。
年齢とか、その時の気分とかによって印象が変わって、読むたびに新しい発見があると何回でも読んでしまいますよね。
確かにそうですね。同じ文章を読んでも、その時々で受け取り方が変化すること……ありますね。
今日持ってきた『蝶々の纏足 風葬の教室』もそんな小説の1つ。読みすぎて表紙がちょっとぼろっちくなってしまっていますが、それもお気に入りの証です。「蝶々の纏足」、「風葬の教室」、「こぎつねこん」の3つの短編が収録されていて、中でも「蝶々の纏足」がお気に入りです。
あら、「纏足(てんそく)」って言ったら、女の子の足が大きくならないようにする、昔の中国の習慣ですよね。内容が気になりますね。
ええ。この物語では、大学生の「私」によって、私と幼馴染のえり子がたどってきた関係が語られています。えり子はとても美しく、いつも地味な私をかばい助けてくれる――と見せかけて、私を引き立て役として支配しようとしていました。そして私はその支配から逃れようともがき、麦生という男の子を踏み切り板にしてえり子と決別し自由になろうとする。というのがざっくりとしたあらすじでしょうか。
あらー、幼なじみとの変わった関係、そこから抜け出そうとして……えり子さんの気持ちはいかほどのものかしら。揺れるでしょうねぇ。
この物語は大学生の私によって語られていると先ほども言いましたが、その私の視線が語りの中に交ざっています。その視線はえり子に支配されていた当時の私の視線とはズレがあって、そこにこの小説の面白さがあると思うんです。
例えばすごく印象的なシーンに、小鳥を呑みそこねて死んでしまった蛇を見て「大き過ぎるものを呑み込もうとするからよ」とえり子に言うシーンがあります。このセリフには、私を支配しようとするえり子を蛇に見立て、私(=小鳥、大きすぎるもの)を支配する(=呑み込む)ことはできないという思いが込められているのではないでしょうか。そしてその蛇に対して当時の私は「可哀想」と冷ややかな視線を送ります。しかし物語の最後でえり子の想いを知った私に、この冷ややかな視線がはね返ってきて、語っている私との視線のズレを作り出すのです。ここは本当にうまいなぁという感じで、ぞくぞくしてしまいました。
と我ながらよく分からない解釈ばかりたらたらと話してしまって申し訳ないのですが、とにかく「蝶々の纏足」は考えさせる小説なのですよ。だから、自分以外の人がどう読んだのかがすごく気になります。ミソノさんもぜひ読んでみて、感想を聞かせてください。
冷ややかな視線がはね返る……それはどんな風に描かれているんでしょうね! そこを読んで自分がどう思うか、楽しみになりましたよー。読んだらまっさきにサヤちゃんに感想をお知らせしますね。
本への愛情、オススメの仕方が上手だとミソノの好感度アップ! それぞれミソノの心を占めている割合は……?
エリス:12% レイラ:21% サヤ:31%
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