「Nexus 7(2013)」――7型Androidタブレットの新定番は死角なしか?:最新タブレット速攻レビュー(2/2 ページ)
「iPad mini」とともに小型タブレット市場をリードする「Nexus 7」。待望のモデルチェンジを遂げた「Nexus 7(2013)」は、値上げしても買いなのか、チェックしていこう。
サイズ感チェック:300グラム切りの細長いボディは片手持ちにぴったり
Nexus 7(2013)の本体サイズは114(幅)×200(高さ)×8.65(厚さ)ミリ、重量は約290グラム(実測値もぴったり同じ)で、Nexus 7(2012)より横幅が6ミリ細く、厚さが1.75ミリ薄く、重量が50グラム軽くなった。高さは1.5ミリ増したが、より片手で握りやすく、持ち運びやすく進化している。Nexus 7(2012)は片手で握るのがギリギリだったという方も、これなら無理なく片手で握って使い続けられるかもしれない。
側面と背面のカバーは一体成型で、さらりとした手触りのマット調ブラックに統一されている。側面をシルバーのパーツで囲み、背面にドットの凹凸を付けて滑りにくくしたNexus 7(2012)と比べた場合、デザインの個性は弱まったが、本体のスリム化と画面左右の狭額縁化も相まって、より洗練された外観に生まれ変わった印象だ。
注目ポイント:超高精細ディスプレイ、先代の弱点を克服する機能強化
薄型軽量化とともに目を引くのが、液晶ディスプレイの強化だ。広視野角のIPS液晶パネルを採用した7型ワイド画面(アスペクト比16:10)はそのままに、解像度をNexus 7(2012)の1280×800ドット(WXGA)から一気に1920×1200ドット(WUXGA)まで引き上げ、画素密度は約216ppiから約323ppiに高まった。
Nexus 7(2012)も7型タブレットとしては精細さに不満がないレベルだったが、10型クラスの「iPad Retinaディスプレイモデル」(約264ppi)や「Nexus 10」(約300ppi)をも上回る超高画素密度を実現し、現在販売中のタブレットでは最高峰の精細さだ。フルHD動画をはじめ、高画素の写真、Webページや電子書籍の細かい文字など、ドット感がない緻密で滑らかな表示が堪能できる。輝度の調整幅も広がり、状況に応じて、より明るく、より暗く調整可能だ(自動調光も対応)。発色もよくなっている。
Nexus 7(2012)は背面にカメラがないことが弱点だったが、Nexus 7(2013)では500万画素のカメラが追加され、パノラマ撮影やQRコードの読み取り、AR(拡張現実)アプリとの連携などに対応できるようになった。また、ワイヤレス給電機能のQi(チー)にいち早く対応したり、Micro USBポートでSlimPort準拠の外部映像出力が行えたり、背面の上端と下端にステレオスピーカー(バーチャルサラウンド対応)を内蔵して横位置での動画再生時に音質が向上していたりと、細部まで手が加えられている。
実力テスト:パフォーマンスは上々、バッテリー駆動時間も延長
今回評価したNexus 7(2013)の基本スペックは、SoCがQualcomm Snapdragon S4 Pro APQ8064(1.5GHzクアッドCPUコア、GPUコアのAdreno 320を統合)、メモリが2Gバイト(DDR3LM)、ストレージが16Gバイト(eMMC)、OSは最新のAndroid 4.3だ。各種ベンチマークテストの結果は、NVIDIA Tegra 3を採用したNexus 7(2012)、Rockchip RK3066搭載の「HP Slate7」、MediaTeck MTK8125を備えた「MeMO Pad HD7」、Intel Atom Z2420を装備した「Fonepad ME371MG」のスコアも併記した。
テスト結果は優秀だ。QualcommはSnapdragon S4 Proの後継であるSnapdragon 600を既に投入し、それを搭載したスマートフォンも発売中だが、現行の7型タブレットとして申し分ないスコアを記録した。CPU、メモリ、3Dグラフィックスといずれも高水準にあり、Nexus 7(2012)や他の7型タブレットを大きくリードしている。実際の動作も機敏で、タッチ操作のレスポンスを含め、パフォーマンスの高さが実感できる。
バッテリーテスト(最大輝度でYouTubeを連続再生)の結果は7時間43分だった。同条件でNexus 7(2012)をテストしたところ、結果は7時間10分だったので、スタミナ面も改善されている。最大輝度はNexus 10よりかなり明るいため、より暗くすれば、公称値の約10時間に近づけられるだろう。ボディの発熱については、高負荷時に縦位置で上部が温まる傾向だ。室温27度の状態で、全テスト終了時に背面上部が40.8度まで上昇した。ただし、背面の半分から下と、側面は発熱しにくいので片手で握って快適に使える(画面の温度は上がる)。
ベンチマークテストの概要
- パフォーマンステスト
- Quadrant Professional Edition 2.1.1(コンポーネント別の性能と総合評価1)
- AnTuTu 安兎兎ベンチマーク 3.4(コンポーネント別の性能評価と総合評価2)
- 3DMark Android Edition/Ice Storm(3Dグラフィックスの性能評価)
- バッテリー駆動時間テスト
- PVSTAR+アプリでYouTubeの動画を連続再生(動画再生のバッテリー評価)
※バッテリー駆動時間テストでは、ディスプレイの輝度を100%、Wi-Fiオン、音量50%に設定し、満充電からバッテリーがなくなるまでの時間を測定
まとめ:価格上昇も納得できる7型Androidタブレットの新スタンダード
Nexus 7(2013)の価格は、Wi-Fiモデルが16Gバイト版で2万7800円、32Gバイト版で3万3800円、LTEモデル(2013年9月中旬以降に発売予定)が32Gバイト版のみで3万9800円だ。Nexus 7(2012)は、Wi-Fiモデルの16Gバイト版が1万9800円だったので、価格は8000円上昇したことになる(ほかの2モデルは従来比での価格差がより大きい)。
価格的なインパクトは薄れたものの、ボディの薄型軽量化を追求しながら、性能、画質、機能、バッテリー駆動時間もしっかり強化し、7型タブレットとしての完成度は大きく向上した。各部が高水準な仕上がりで、特に“Retina級”の高精細ディスプレイは素晴しい。次期iPad miniの登場を前に、対抗できるだけの仕様を詰め込んだため、ややハイスペック寄りで価格帯が上のタブレットになったが、「この価格でよくぞここまで」というトータルバランスのよさは健在だ。値上げも納得できる魅力が確かに存在する。
ほかのAndroid搭載デバイスを見渡した場合、SDメモリーカードスロットがない点や、人気機種なのにカラーがブラックしかない点、SoCが最新版でない点など、細かい不満点はあるが、どれも大きな問題ではない。今後も「7型Androidタブレットの代表格といえば、Nexus 7」という状況はしばらく続くだろう。
これに真っ向から対抗できるとしたら、やはり今秋発売と目される次期iPad miniだが、どういった仕様強化を行い、日本での価格がいくらになるかが気になるところだ。
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