エンタープライズ:トピックス 2002年6月28日更新

Interview:デル幹部、「2003年、サーバの主流はブレード/ブリックへ」

 サーバマシンの次の波として、現在最も注目されているのがブレードサーバだ。パソコン、PCサーバと、製品のコモディティ化を力強く先導してきたデルコンピュータも、4月に米国で「PowerEdge 1655MC」を発売している(関連記事参照)。同社は、ブレードとブリックという2種類の製品による「モジュラー・コンピューティング」を展開する。同社のプレス向けビジネスセミナーに参加するために来日している同社のエンタープライズシステムグループ、シニアマネジャーのダレル・ワード氏は、「2003年にはモジュラーコンピューティングが業界の中心になる」と話している。

ワード氏(上)とブレードサーバのPowerEdge 1655MC(下)。まだ日本では発売されていない

 モジュラー・コンピューティングは、1つのシャーシに複数台のサーバを搭載した高密度サーバを構築するもの。シャーシ内のサーバならば、電源やケーブルなどを共有できるため、電力消費およびコストともに抑えられるのが特徴だ。さらに、個々のサーバは、ブレード(刀身)型やブリック(積木)といった形状をしているため、本棚に本を収納するイメージで高密度にサーバを設置できる。

 必要な数だけの構成から、随時サーバを増やしていくことが可能。サーバルームの面積が限られた環境で、Webサーバ、SMTPサーバ、ファイアウォールなど、サーバ環境の再設計や統合を行うには最適の製品として、世界中の有力ベンダーがこぞって製品を投入しているのが現状だ。ただし、I/Oスロットがないことなど、拡張性についてまだ改善の余地があるというのが一般的な見方となっている。

 デルのPowerEdge 1655MCは、1つのエンクロージャーに,Pentium III 1.26GHzを2個搭載できる2ウェイサーバを最大6台(CPUは計12個)まで格納できる。ホットプラグ対応の冗長電源と冷却ファン、オンボードマネジメントカード、冗長イーサネットスイッチを備える3Uのきょう体で構成されている。ギガビットイーサネットに対応しているのも特徴となっている。

「(標準のコンポーネントで構成しているので)モジュラーコンピューティングに移行して、従来処理してきたことが不可能になることはない」(ワード氏)

ZDNet この分野について、モジュラーコンピューティングというよりは、ブレードサーバの名前の方が今はよく通じるという印象がありますが、デルはどのように考えてどんな取り組みを行っていますか?

ワード ブレードサーバは業界における一般的な言葉ですが、ブレードにはI/Oなどにいろいろと(ディスクがオンボードであることなど)制約があります。

一方、ブリックサーバでは、I/OモジュールやCPU、ディスク、ファイバーチャネルなどのモジュールを、顧客の要望に応じて組み合わせることが可能になります。このため、中小規模の企業向けとしても柔軟に対応できます。

したがって、ブレードサーバは、WebサーバなどTier1、Tier2といった比較的フロントエンドを、ブリックサーバは、Tier3のデータベースやOLTP、エンタープライズアプリケーションの稼動に向いています。また、CPUの搭載密度は現在のマルチプロセッササーバを上回っています。

ZDNet モジュラーコンピューティングを構築する場合の設計のコンセプトは何ですか?

ワード データセンターにおける(サーバ統合などの)サーバの再設計です。サーバの設置スペースの制約という問題を解決したり、シトリックスやマイクロソフトが展開するサーバベースコンピューティング、シンクライアントを推進することなども想定しています。

ZDNet 高密度化することで、シャーシ内の熱が上がるといった問題はありませんか?

ワード 確かにそれは大きな問題です。ホットプラグの電源や、使用に耐えるCPU密度、冷却の問題については、失敗を犯さないようにしなくてはなりません。

ZDNet ところで先日、IBMのチップセット「Summit」の販売契約を破棄したというニュースが米国で流れましたが、それについて何か意見がありますか?

ワード 直接自分の業務では関わっていませんが、その件については認識しています。ハイエンドサーバ製品に搭載するチップセットとして、IBMのSummitは高価だったということです。インテルやサーバワークスが提供する製品と比較すると、コストパフォーマンスにそれほど魅力がなかった訳です。

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[聞き手:怒賀新也 ,ITmedia]