ZENworks 6.5でLinux戦略をさらに推進するノベル

ノベルがリリースしたシステム管理スイート、「Novell ZENworks 6.5 Suite」には、Linuxのサポートをはじめとする新機能が加わっている。

» 2004年07月30日 12時28分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 ノベルは7月29日、インベントリ管理やソフトウェア配布といった機能を実現するITシステム管理スイートの新バージョン、「Novell ZENworks 6.5 Suite」を発表した(7月29日の記事参照)。ようやく日本語化が実現されたほか、管理対象プラットフォームの拡大、ZENworks エージェントの自動インストールといった機能が加わっている。

 同社は昨年、Ximian、SUSE Linuxを相次いで買収し、Linuxへのコミットメントを明確に打ち出している。今回リリースされたNovell ZENworks 6.5 Suiteもその戦略の延長線上にあり、Linux管理を実現する「ZENworks Linux Management」が追加されていることが最大の特徴だ。

 ZENworks Linux Managementでは、RPMをベースに、複数のLinuxシステムに対して一元的なパッチ/アップデートの配布とインストールを行える。競合の制御が可能なほか、複数のアップデートにまたがる多段階の依存関係についても解消する仕組みを備えており、「Linuxシステムでもパッチ適用の手間を非常に少なくできる」(ノベルマーケティング本部、プロダクトマーケティングマネージャの古井洋司氏)。不具合が生じてしまった場合に備えたロールバック機能もサポートした。

 Linuxは今はまだサーバ用途での利用が中心だが、デスクトップ分野での活用にも期待が集まっている。だが、端末の台数が増えれば、管理作業が煩雑になることは避けられず、十分なスキルを持った管理者が確保できない可能性もある。Linuxの集中的な管理を実現するZENworks Linux Managementはそうしたときに役立つだろう、という。

 SUSE側でもZENWorksをサポートする予定といい、「ノベルは、Linuxに対しすべてのソリューションを提供できる唯一のベンダー。今後も(Linux分野に)力を注いでいく」(古井氏)。

 新バージョンのもう1つの特徴は、パッチの配布だけでなく適用までを自動化できる「ZENworks Patch Management」機能が加わったことだ。このパッチ管理機能は、米PatchlinkのOEMを受けて実装されたもので、配布のスケジューリングやレポートなどが可能だ。各端末でのパッチ適用という物理的な手間を省き、「確実にTCO削減につなげることができる」(古井氏)。

 さらに、ZENworksがもともと得意としてきたポリシーベースの管理を組み合わせることで、「管理者が介入することなく、アクセスしてきたPCの状態に応じてパッチの配布を強制的に行うことができる」(同社マーケティング本部、飯田敏樹氏)。いわゆる検疫ネットワークの実現だ。アルカテルと共同で、VLANと組み合わせた検疫ソリューションも展開しているという。

 「Novell eDirectoryを連携させることで、ユーザーがどういった部署に所属し、どんなソフトウェアを必要としているかという情報を元に、アカウントの作成からソフトウェアの配布までを迅速に行うことができる。つまり、ポリシーに基づいて『権限やロール(役割)に応じて、必要なものを、必要なときに、必要な人に』与えることが可能になる」(飯田氏)。

 「リソース管理やセキュリティに対するユーザーの意識は高まっている。それにともない、ZENworksのアピール度も高まると期待している」(古井氏)。

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