JGN II日米回線開通、研究用ネットワークを10Gbpsで結ぶ

NICTは8月2日、超高速研究用開発テストベッドネットワーク「JGN II」の日米回線開通式典を都内で開いた。日米が連携したボーダレスな研究が期待される。

» 2004年08月02日 20時21分 公開
[堀 哲也,ITmedia]

 独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は8月2日、超高速研究用開発テストベッドネットワーク「JGN II」の日米回線開通式典を都内で開いた。

 NICTが2004年4月から運用を開始したJGN IIは、最大20Gbpsの高速なIPネットワークで、最先端の光交換機を導入するなど、次世代のネットワーク運用を高度化技術やアプリケーション開発の基礎研究の実証実験の場となるために構築されたもの。2003年まで運用された前身のJGNは、ブロードバンド技術やIPv6の研究などで大きく貢献しており、JGN IIにはそれ以上の貢献が期待されている。

 8月1日には、JGN IIの東京と米シカゴを10Gbps(OC-192 SONET)で結ぶ回線が開通。日米の高速研究用ネットワークが接続され、欧米などと連携したボーダレスな研究も可能となる。

テープカット 開通セレモニーでテープカット

 式典では、田端正広総務副大臣が挨拶。「2010年のユビキタスネットワークを目指すためには、技術の研究開発が必要と考えている。日本が誇れる技術をアメリカだけでなく世界へと飛躍させ、ユビキタスネットワーク社会に向けて支援をお願いしたい」と、研究者らを鼓舞した。

 田端正広総務副大臣 来賓として挨拶した田端総務副大臣。「u-Japanでは高齢者と孫がまるで隣にいるようにネットワークを通じたコミュニケーションが取れる」

 基調講演を行った総務省の鬼頭達男氏(大臣官房技術総括審議官)は、同省の掲げたu-Japan構想で描かれるユビキタスネットワーク社会を実現するには、実証実験の場となるテストベッドが必要とJGN IIへ期待を掛ける。

 総務省の描くユビキタスネットワーク社会に至るためには、技術的な課題も多い。鬼頭氏は「e-Japanは手本があったキャッチアップ型だったが、u-Japanは手本がない。知恵を出し合っていく必要がある」と話し、ユーザーサイド/バックボーンネットワークなど、技術に裏づけのある形でクリアしなければならないという。

 そのためには、総合的な研究開発が必要で、基盤技術や利活用技術のテストベッドとしてJGN IIが機能し、実証実験の成果が研究開発にフィードバックされるサイクルが不可欠になってくるわけだ。

 JGN IIは、各県(全63カ所)にアクセスポイントを持ち、研究開発目的であれば、原則誰でも利用することが可能だ。利用に当たっては、「JGN II研究計画書」をNICT JGNIIセンターに提出し、NICTと共同研究契約を結んだ後、アクセスポイントまでの回線を確保すれば利用できる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ