MS、CE.NETアプリケーション開発をEmbedded DevConで解く

組み込み市場は、マイクロソフトにとって比較的苦戦を強いられている分野だ。しかし、Windows Media 9で高画質さを知らしめたように、そのWMVフォーマットをデバイスサポートさせるなど、最近はWindows自体よりもテクノロジーの魅力で攻めている。

» 2004年09月29日 07時10分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 9月28日、東京・品川プリンスホテルで「Microsoft Windows Embedded Developers' Conference Japan 2004」(通称、Windows Embedded DevCon)が開催された。このカンファレンスは、Windows CE(Pocket PC)デバイス向けに、開発者や企画者へ組み込み技術情報を提供するものだ(基調講演関連記事)。

 マイクロソフトのエンタープライズサポート本部シニアTAM、岡田尚志氏の講演では、Windows CE.NETアプリケーション開発についての概要が紹介された。ポイントは、開発現状とその形態、そして.NET Compact Frameworkについて。

開発にはネイティブ、マネージド、2つの形態がある

 Windows CE向けのアプリケーション開発は、現在、ネイティブアプリケーションのためにC/C++言語の「eMbedded Visual C++ 4.0」(以下、eVC 4.0)、マネージドアプリケーション開発にはC#あるいはVBを使い「Visual Studio .NET」環境で行う。

 マイクロソフトの狙いは、いかにマネージドアプリケーション開発へと導くかであり、この場合には.NET Compact Frameworkが必要となる。開発の容易さからのメリットは、アンマネージド自体の特徴といえるメモリ管理をプログラミングで扱わず、(内部処理となる)Frameworkで担う点だ。PC(デスクトップ)向けの.NET Frameworkと同等の位置づけとなっている。

 一方、ネイティブアプリケーションの開発には、従来からの手法が通用し、Win32 APIやMFC、ATL対応アプリケーション開発と同等だ。eVC 4.0の入手はWebダウンロードのみとのこと。

 また、上記の開発ソフト以外にSDKが必要となり、これは各デバイスベンダーから提供される形態となっている。基本となるSDKは、Standard SDKと呼ばれ、英語版と日本語版があるが、ローカライズのみであり、生成されるアプリには違いがないとのことだ。

 このStandard SDKの位置づけは、PC上でのエミュレータ目的で利用するもの。CE.NET 4.0向けであり、4.1以降は前述のように各デバイスに合ったSDKが必要になる。Pocket PC SDKはWebダウンロード、NTTドコモのシグマリオンなども専用のSDKが用意されている。

 SDKのパッケージ自体には、インクルード、ライブラリ、ランタイム、リモートツールプラットフォーム固有のモジュールなどが含まれている。

マネージドアプリ開発には.NET Compact Frameworkの理解が必要

 マネージドアプリケーションには、ランタイムとして.NET Compact Frameworkが必要となる。稼働環境は、Windows CE.NET 4.1以降、開発には前述したVS .NET 2003と「アドオンパック」、そしてSDKが必要となる。このアドオンパックは、同社のサービス「MSDN Online Japan」上で、同キーワードにて検索すれば見つかる。

 VS .NET 2003では「スマートデバイスアプリケーション」のプロジェクトを選択して開発に移る。また、各デバイスのSDKは、代表的なものがVSにあらかじめ含まれているとのことだ。

 岡田氏からは、.NET Compact Framework 1.0についても語られた。同Frameworkは、デスクトップ(PC)版のサブセットとして位置づけられるもの。すべてのPC向けの機能は扱えないが、サポート言語として現在は、C#とVBであることに触れた。

 プログラミングモデルの統一が.NET Frameworkにあるが、Compact Frameworkも同様なコンセプトであるという。

 このほか講演後半には、今後登場予定の新版.NET Compact Framework 2.0についても幾つかのポイントが示された。

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