1月7日に公開された「Microsoft AntiSpyware」ベータ版を検証してみた。分かりやすいインタフェースと優れた検出機能を備えたツールだが、一方でIE以外のブラウザがサポートされないなどの問題もある。
Microsoftがスパイウェア対策分野に進出した。同社が投入したのは「Microsoft AntiSpyware」の無償ベータ版だ。このソフトウェアは現在、ベータリリースとして配布されており、スパイウェアおよびアドウェアの検出と除去に必要な基本機能は一通り備えている(訳注:Microsoft AntiSpywareは英語版で開発途中のベータ製品であり、正規のサポートは提供されておらず、日本語環境での動作もサポートされていない。日本語版の提供は未定)。
Microsoft AntiSpywareは、各種のセキュリティ/プライバシーツールをセットにしたもので、多数の機能が組み込まれている。例えば、第三者が勝手にワイヤレスネットワークの帯域幅を利用しようとした場合に、それをユーザーに通知するという機能もある。
このパッケージは、以前から市場に出回っていたGIANT Company Softwareの「AntiSpyware」プログラムをブランド変更したものに過ぎない。Microsoftは昨年、GIANTを買収した。プログラムのサイズは6.4Mバイトで、Windows 2000/XPおよびWindows Server 2003に対応する。
Microsoftのセキュリティ/ビジネス/テクノロジー部門の製品管理ディレクターを務めるポール・ブライアン氏は、7月にベータテストが終了した後もMicrosoft AntiSpywareプログラムを無償で提供するかどうかを明らかにしていない。
ベータ版を見る限り、Microsoft AntiSpywareは非常に優れた製品のようだ。その直感的なインタフェースはMicrosoftファンにアピールすることだろう。プログラムは「Scanning」(訳注:画面上では「Spyware Scan」と表示)「Real-Time Protection」「Advanced Tools」という3つのメインタブに分けられており、その中に各種のプライバシー関連機能やセキュリティ機能が含まれている。これらの機能は、GIANT AntiSpywareの機能機能と同じである。
しかしMicrosoftに対して批判的な人々には、多くの問題点が目に付くかもしれない。例えば、ブラウザ設定ロックダウン機能はInternet Explorerブラウザの設定を復元するというものだが、ユーザーのホームページをMSNに、デフォルトブラウザをIEに、そしてデフォルトの検索エンジンをMSN Searchに戻すことしかできない。また、履歴ファイルを消去する機能は主としてMicrosoftのプログラムを対象としており、FireFoxやOperaブラウザ、America Onlineのソフトウェアなどには対応していない。
Microsoft AntiSpywareの基本的なスキャニング機能は、高速かつ徹底した検査を実行する。筆者がテストで使用したシステムでは、既存のスパイウェア検知製品である「Spybot Search and Destroy」および「Ad-Aware」が検出した3つのスパイウェアをすべて特定することができた。そればかりか、筆者が非公式に行ったテストでは、Microsoft AntiSpywareのスキャニングエンジンは、Spybot Search and Destroyと比べて約2倍の速度でドライブを検査することができた。ただし、3つのプログラムの中で最も高速だったのはAd-Awareだ。
Microsoft AntiSpywareは、すっきりとした使いやすいインタフェースを備えている。スパイウェアが検出されると、Microsoft AntiSpywareは、検出されたプログラムに関する詳細な情報(スパイウェアがコンピュータ内のどこに置かれているのか、危険性の度合い、推奨すべき対策など)を表示する。Scanningタブでは、スキャンを実施するスケジュール(毎日/週に一度/月に一度)を設定し、スパイウェアが検出された場合はそれを自動的に削除あるいは隔離することができる。
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