Integrityサーバ新モデルを投入したHP、関連売り上げは10億ドル突破

HPが「Integrity」サーバのミッドレンジおよびハイエンドモデルを発表した。SQL Serverユーザーの声に応え、Windowsサーバでは初めて従量課金モデルを用意する。

» 2005年01月18日 19時59分 公開
[IDG Japan]
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 Hewlett-Packard(HP)は今週、「Integrity」サーバシリーズでMadisonチップを搭載したミッドレンジおよびハイエンドモデルを発表し、Itanium 2プロセッサへのコミット姿勢を明確にした。新サーバではOpenVMS 8.2、Novell版Linuxおよびバンドルされた仮想化ソフトウェアを新たにサポートするとともに、Windowsサーバで従量課金方式を初めて導入することも明らかにした。

 ハイエンドの「Superdome」を含む新サーバラインアップは、従来機種よりも平均で25%高速に動作する。HPによると、システムパフォーマンスの向上は、プロセッサなどのハードウェア技術の改良だけでなく、ソフトウェアによって実現された部分も大きいという。

 HPのビジネスクリティカルサーバ部門のマーケティング担当副社長、ドン・ジェンキンス氏は、「パフォーマンス改善の多くは、チップだけでなくコンパイラによるところが大きい。単により多くのトランジスタをチップに実装するとか、クロック速度を高めたりするとかというのではなく、コンパイラを改善してパフォーマンスを高めることを重視した」と話す。

 新サーバではクロスプラットフォーム対応の拡充も図られている。WindowsとHP-UX 11iに加え、OpenVMS Version 8.2およびNovellのLinux 9(カーネルバージョン2.6をベースとする)をサポートする。

 さらにHPはサーバの競争力を高めるべく、2つの仮想化機能を追加した。その1つが、アプリケーション間でセキュリティを改善するセキュアなリソースパーティション機能だ。また、仮想サーバと物理サーバの両方にまたがって動作し、データセンターユーティリティとして機能する「Global Workload Manager」も提供される。

 しかし業界観測筋によると、ライバルの64ビットサーバとの競争でIntegrityサーバが成功できるかどうかは、HPが既存のPA-RISCユーザーベースの相当の部分に対して早急な移行を促すことができるかどうかにかかっているという。

 IDCでグローバルエンタープライズサーバソリューション業務を担当するリサーチディレクター、スティーブ・ジョセリン氏は、「PA-RISCユーザーの移行については、HPにはまだ長い道のりが残されている。この作業は彼らの期待通りには進んでいないように思う。これは時間のかかる非常に長いプロセスだが、彼らが向かっている方向は間違っていない」と話している。

 Windowsで動作するIntegrityサーバで従量課金オプションを用意するという方針は、MicrosoftのSQL Serverのデータ統合機能とデータウェアハウジング機能を運用するためのサーバとして利用している企業ユーザーからの要求の高まりに基づくという。

 「Windowsへの従量課金方式の導入は、Windowsにユーティリティコンピューティング機能を提供するという目標に向けた第一歩となるもの。使った分だけ払うようにしたいというユーザーが増えている」とジェンキンス氏は説明する。

 HPの新サーバモデルは発表と同時に出荷された。最大9Mバイトのキャッシュを搭載し、価格はローエンドの「Integrity rx1620」モデルの4119ドルから、ハイエンドの「Integrity Superdome」サーバの18万5252ドルまで。HPの広報担当者によると、既存のIntegrityサーバ全機種について、部品換装によるアップグレードを用意しているという。

 またHPは今回の新製品発表に関連して、Integrityサーバ関連の製品とサービスの売り上げが10億ドルを突破したことも発表した。この数字には、「StorageWorks」システム、ハードウェアサービスおよび関連ソフトウェアの売り上げも含まれる。

 「2004年に達成した売り上げ10億ドルは、2003年と比べて500%の増加となるもの。これには、2004年半ばの180日間で獲得した180件のSAP導入契約も含まれる。2004年の目標としていた3000本のアプリケーションという記録も達成した。2005年の目標は4500本だ」(ジェンキンス氏)

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