そして、パッケージがシステム構築の主流となったことも、結果として、SEにとって苦労の源になったとする。というのは、かつて、システムのすべてをはじめから開発したスクラッチ&ビルドの手法においては、万が一顧客企業の業務要件をまったく知らなくても、開発をしながら業務要件を覚えていくことも可能だったからだ。
さらに、そのパッケージシステムへのSEの理解度が浅い場合が、最も苦労するケースのようだ。つまり、顧客企業に対しては、「ソリューション」として提供されるのがパッケージソフトウェアだが、導入するSE自身がパッケージソフトウェアに込められた思想を理解していないと、さまざまな問題の火種になる。
たとえば、パッケージソフトウェアの多くにおいて、モジュール間の機能面での不整合や重複があるなど、不完全性が存在しているという。それを理解せずに導入を行うと、その矛盾に気づくことなく導入を行ってしまう。結果として、導入プロジェクトの失敗につながってしまうわけだ。
したがって、SEは、自分が扱う業務アプリケーションやERPパッケージについてはしっかり理解しておく必要がある。逆に言えば、ソフトウェアを提供する製品ベンダーは、ユーザーやシステムインテグレータに対して、製品のコンセプトや思想、製品内のモジュール間のロジックの整合性などについて、正確に説明しなくてはならない
さらに、現在のSEが大変であるという話に関して、馬場氏は、「かつては、1つの得意分野を持てば10年間は食べていけたが、現在はそうはいかなくなっている」と続ける。現在は、さまざまなテクノロジーが次々と登場しており、テクノロジーの将来は予測が難しい。
「この業界で生きていくためには、自分から取り組んでいく必要があると感じている」(同氏)
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