SAS Instituteはポルトガルのリスボンで、ユーザーカンファレンス「SAS Forum Internatonal Lisbon」を開催している。同社の取り組みやユーザーの観点から見たBIの現状などを聞いた。
SAS Instituteはポルトガルのリスボンで、ユーザーカンファレンス「SAS Forum Internatonal Lisbon」を開催している。そこで、ビジネスインテリジェンス(BI)による分析環境の利用を促すSASの幹部に同社の取り組みやユーザーの観点から見たBIの現状などを聞いた。
ワールドワイドマーケティングで戦略およびプランニング担当のバイスプレジデント、アンドレアス・ディグルマン氏は、Beyond BIを掲げる同社の戦略を「BIの古い定義」を引き合いに出して話す。
「レポーティング、OLAP、ナビゲーションなどでとどめるのはかつてのBIの定義だ。SASはこれらを全社的な規模に広げるとともに、“前方に窓がないバス”ではできない予測という観点を加えることで現状のBIを越えていく」(同氏)
同氏は、一般的に、ユーザー企業がBI導入において苦労する点について、「導入プロジェクトの80%がデータ整備に費やされる」とする。いくらツールの分析技術の質が高くても、投入するデータが「ゴミ」だらけだったり、データ同士に論理的な整合性がなければいい分析結果を出すことは難しく、宝の持ち腐れになってしまうというわけだ。
逆に言えば意味(セマンティック)の部分を含めて、データを正確にクレンジングしてからツールに投入すれば、BI導入を成功させる第一歩を踏み出すことができると言えそうだ。
同氏は、ユーザー企業がBIツールの導入を決める瞬間について、「必要としているもの(情報)を得られると確信したとき」だという。SASとしては、長年の実績、また、ビジネスモデルがしっかりしていることにより、今後も着実にビジネスを展開していける企業であることをアピールしていくという。
一方、ジム・グッドナイトCEOは、「テラバイト級のデータへのすばやいアクセスがSASの強み」と指摘。データが大きいほど、同社のテクノロジーが生きてくるという。
ところで、BI導入の理由として、コンプライアンスの観点がさらにクローズアップされている。特に、欧州の金融機関で言えばマネーロンダリングへの対応が焦点だ。「カネ」を洗浄するプロセスをITで把握しておけば、事後でも、データの履歴を追うことで被害を防げるからだ。
コンプライアンスの観点は企業のBI導入では「守り」の側面と言えるが、不意の隙をつかれることによって、一瞬のうちに莫大な訴訟費用の負担を強いられるなどのリスクが珍しくない現在、実質的にBI導入における強力なモチベーションになっている。
また、日本法人の堀昭一社長は、「2月に打ち出したBeyond BIのメッセージが今回のリスボンで定着したと感じている」と話す。また、「データ量が巨大で、分析する必要に迫られる企業をターゲットに日本でビジネスを展開したい」としている。
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