第1回 運用業務の効率化に効くITILを深める! サービスサポート編(2/3 ページ)

» 2005年07月04日 00時00分 公開
[インフォリスクマネージ,ITmedia]

 「青本」と呼ばれるITILのサービスサポートは、大きく5つのプロセスと1つの組織(構造)に分類されている。

プロセス(一部組織) 概要
構成管理 ITに関するすべての基盤要素を最新かつ正確に管理するプロセス。構成管理データベース(CMDB)が中心的な役割を担う
変更管理 変更が及ぼす影響を認識しながら、その変更を円滑に進めていくプロセス。変更諮問委員会(CAB)の設置など承認プロセスについても言及している
リリース管理 一般的にはインテグレーション(開発・構築)といわれていたプロセスで、複数の変更要求をコントロールされた計画のもとに実施する
インシデント管理 サービスの品質を阻害する事象に対して、迅速に元のサービスレベル(もしくはそれに近いレベル)まで回復させるプロセス
問題管理 サービス品質を阻害する事象の根本原因を確認し、恒久的な対策をとるプロセス
サービスデスク ユーザーの一元的な問い合わせ窓口。サービス品質を阻害する事象に対し、許可された範囲で変更の実装を行う場合もある

 ITIL導入の際には、これらすべてを実装していく必要はなく、そのIT組織の成熟度などによって導入の進め方と順序は変わってくる。ITILが記載しているのはあくまでベストプラクティスなので、必ずしも自社のIT組織に最適なものではないことも考えられる。まず、自社のIT組織の目標を設定し、現状の状態を把握することが重要になる。目標の設定には、ITILのサービスサポート(青本)が参考になる。現状の把握については、ITILのコンサルティングを受けることもできるが、お金をかけずに実施する方法としては、マイクロソフトの「MOF(Microsoft Operations Framework)自己評価ツール」を利用する手もある。

サービスデスクとは何か?

 この連載を通して「青本」のサービスサポートの概念を解説していくが、まずはユーザーとの窓口となる「サービスデスク」について説明したい。サービスデスクとは、単に顧客やユーザーの問い合わせ窓口という位置づけではなく、サービスレベルを管理するなどのITILのほかの分野と密接に関連しながらサービスの範囲を拡張したものと考えてほしい。ヘルプデスクやコールセンターとサービスデスクとの大きな違いとなるのが、このサービス範囲を拡大し上流からのアプローチを積極的に取り入れる点にある。

 技術的アプローチのサービスデスクは縮小化の傾向にあり、それに代わるようにしてITILの示している顧客満足と事業の成功を橋渡しするようなサービスデスクが多くなってきている(もちろん技術的な見識は必要だが)。顧客やユーザーというのはテクノロジーの導入を目的としているのではなく、事業の成功や利便性・効率性などを求めているのであって、テクノロジーはそのための手段であることを十分理解する必要がある。これによって、新たなサービスデスクの価値を創造することができるようになってくる。

サービスデスク構築のポイント

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