先月行われた「OSS Roundup」を質問ごとに紹介するこの企画。第1回は自己紹介も交えて、ハッカーという言葉について考える。
VA Linux Systems Japanが6月22日と23日に開催した「VA Linux Business Forum 2005」。その1セッションでは「OSS Roundup」というイベントが開催された。ITmediaで募集したネタを基に座談会形式でざっくばらんに討議するというものだった。その模様をお届けしよう。
佐渡 今回のOSS RoundUP、もともとこのRoundUpという言葉には、総括やまとめという意味がありますが、ここではこうしたメンツを集めて、世間一般でOSSがどのようにとらえられているかを答えていければと思います。たぶん相当脱線するでしょうが、今日はざっくばらんにトークしていきたいと思っています。
本来であれば5人の自己紹介から始まるのですが、いきなり第一のネタということで、「ハッカーがまつもとさんしかいらっしゃらないようですが、ハッカー側からの意見があまり聞けなさそうです。もうちょっと公平な人数配分にできなかったんですか」から行きたいと思います。
小飼 この質問をした方はちょっと職員室まで(笑い)。
佐渡 この質問に関しては「ハッカーの定義」が何なのかということや、そもそもこの場がハッカーだけで構成されていいのかといった問題もありますね。この質問は自己紹介を合わせて答えていきたいと思っています。とりあえず八田くんから。
八田 八田でございます。朝っぱらから来ていただいてありがとうございます。ハッカーがまつもとさんしかいないということは、僕はハッカーじゃないので公平ではないかと思いますが。
まとめの話をすると、これは何度も何度も話されていることで、コードを書く人間だけがハッカーなのか、あるいはドキュメントとかそのほかいろいろなもの、いろいろな仕事をこなす人がハッカーなのか、という議論に集約されると思いますが、結論はログを見たほうがいいよねということにしかならないんですが。ちなみに、この質問をされた方は今日いらしているんですか? 何を聞きたいのかよく分からないんです。ということですいません。僕はハッカーではないということで、小飼さんに。
小飼 ハッカー扱いされてない小飼です。この世に対して発言権があるひとはすべてハッカーであり、日本は民主主義国なので、よってすべての人がハッカーであるというのがわたしのスタンスです。声の大きい小さい、人によくとり入れられる意見を言う人、あまりとり入れられない意見を言う人、というのはあるでしょうが、基本的にわたしは民主主義国においてはすべての人が広義ではハッカーであると思います。そのハッカーのひとりの小飼です。
山根 山根です。ハッカーはその人が自称して、その人が本当にハッカーなのか? と、非常に分かりにくいことがあって、だいたいハッカーはハッカーにしか分からないと。そうすると誰がハッカーで誰がハッカーじゃないかと認定する議論はネットワークのコミュニティーでそういうドキュメントが積み重なっていて、独自の文化がハッカー文化になっている……、という長い話になるんですね。
で、今回わたしが「ハッカーと呼べるほどのものでは……」という言い方をすることが、尊敬であり美徳であるという関係について、その点でハッカーのひとりだと認識しています。コミュニティーの特性などの観点から発言していきたいと思います。よろしくお願いします。
まつもと ハッカー認定ありがとうございます(笑い)。まぁ最近はコードを書かずに文章を書いてばかりなので、その意味では「ライターまつもと」というのが適切かもしれません。というか、みんな自分がしているハックしたコードを言わないんだもん(笑い)。わたしの場合はRubyという分かりやすいことがあって、その点でハッカーという認定をしているのだと思いますが、最近はあまりコードを追っかけてないんですよね。で、おとついくらいに「1日1ハック」を思いついてコードを書いています。1日1ハック、頑張りましょう。まつもとです。
佐渡 自己紹介してと言ってるのに皆さん自己紹介してくれてないんですが、佐渡と申します。ここまでで結構答えになっているという気もしますが、ソフトウェアで社会を変えていくとか、面白い習性がハッカーというのかなと。社会と言っても本当はそんな尊大な意味はないんでしょうけど。
社会の構造を変えるというような、という意味では僕もそういうのに入る人かもしれません。自分の中ではVA Linux Systems Japanという会社を作り上げたということが一番大きな仕事なんじゃないかなという気がしています。
小飼 僕は、一億総ハッカーというスタンスなので、たぶんこの中でハッカー認定を簡単に出すのは僕だと思うんですけど。
まつもと んじゃ、ハッカー認定が欲しい方は小飼さんのところに、ということで(笑い)。
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