米シンクライアント大手のWyse、日本法人設立

米Wyse Technologyは、日本法人のワイズテクノロジーを8月10日付けで設立した。国内シンクライアント市場におけるシェアを50%にまで拡大することが目標だ。

» 2005年09月14日 09時21分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 いわゆるターミナル端末のベンダーで、最近ではシンクライアントシステム大手として知られる米Wyse Technologyは、日本法人のワイズテクノロジーを8月10日付けで設立した。新たなパートナー開拓などを通じて国内でのシェアを50%にまで拡大することを目指す。

 シンクライアントシステムは、運用コスト/手間の削減という意味合いだけでなく、クライアント側に情報を残さないことから情報漏えい対策の1つとして注目を集めている。「シンクライアント市場は今後3年間で100%の成長を見せるだろう。特に大企業では、セキュリティ対策を目的に導入が進むと見ている」(米Wyse Technologyの社長兼CEO、ジョン・キッシュ氏)。

 一口にシンクライアントといっても、それを実現する方法はさまざまだ。ネットワーク経由でブートしたり、ブレードサーバを活用するなど複数のアプローチが登場しているが、ワイズテクノロジーが採るのはオーソドックスなサーバベースコンピューティングタイプ。処理はすべてサーバ側で行い、画面のイメージのみをクライアント側に転送する仕組みだ。

 それを実現するのが、Windows OSやLinux、独自OSの「Blazer」などが動作するシンクライアント端末「Wyse Wintermシリーズ」と、同社の管理ソフトウェア「Rapport」。シトリックス・システムズの「ICA」、マイクロソフトの「RDP」といったターミナルサービス用のプロトコルに対応している。

 ワイズテクノロジーの代表取締役社長に就任した河田英典氏によると、最も有力な競合ベンダーは日立製作所と日本ヒューレット・パッカードになる。「われわれの製品は拡張性が特徴。米citibankでの導入事例をはじめ、数万台規模での導入実績を持っているのはWYSEだけ」(河田氏)点で差別化を図るという。

 Wyse Wintermシリーズの価格は4万円弱から5万円。これにモニターが加わるため、単純に価格だけを見れば普通のPCのほうが有利だが「PCでは(セキュリティが)不十分と考える人が増えている」(河田社長)。今後は、モバイル型端末のほか、ICカードやバイオメトリクス認証によって認証を強化したタイプの投入も検討していく。

 既に兼松やクリアキューブ、ネットワールドといったパートナーを得ているが、今後は既存のパートナーに対するサポートを強化するとともに、OEMパートナーの開拓を目指す。また、企業向けの展開だけでなく、通信事業者との提携を進めてコンシューマー向けにシンクライアントを提供することも検討しており、今年度内に15〜17億円の売り上げを目指す。

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