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» 2006年01月10日 08時42分 公開

HPのアウトソーシング大手CSC買収、そのメリットとデメリットは? (2/2)

[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK
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 アウトソーシング業者が委託契約を締結する際は、コンピュータハードウェアを買い取ったり、一部の社員を自社に移籍させたりして、顧客の資産をある程度引き受けることが一般的であるが、これが債務を累積させ、コストを上げる原因となっている。ところがインドのアウトソーシング業者は、こうした資産引き受けを行わない。事前に高い対価を支払い、買い取ったハードウェアを維持したり減価償却したりする必要がなくなるので、その分サービス料金を安く設定できるわけだ。従来の大手アウトソーシングベンダーには、かつてないほど大きなプレッシャーがかかっているのである。

 IDC(マサチューセッツ州フレーミングハム)のアナリスト、クロフォード・デル・プレーテ氏は、このような背景に鑑みると、HPがCSCの買収を進めているという報道にも納得がいくと述べた。HPは、最初に少数のCSC株式を取得し、その後Blackstoneの保有分を買い取ると考えられている。

 HPはこうした段階を踏んで、CSCのビジネスを自社のサービス事業にうまく組み入れようとしているが、これは同時に、最初に大規模な投資を行ったBlackstoneを「遠ざけるための方策」でもあると、プレーテ氏は説明する。

再編に向かうアウトソーシング分野

 プレーテ氏は、今回の買収話は非常に驚くべき出来事だと言う。HPはITの技術革新を何より重視する企業だが、アウトソーシング事業にはそうした要素がまったく存在しないからだ。だが、長期にわたって顧客との関係を強化するという観点から見れば、アウトソーシングはメリットが大きいし、収益を増大させる効果もある。また、事業を活性化させようとするHPにとっては、時機を得た試みだともいえる。競争が激しい割に成長が遅く、企業価値もなかなか上がらないアウトソーシング分野は、一筋縄ではいかない事業だ。その結果、業界は再編に向かっていると、プレーテ氏は話している。

 「CSCの買収にはリスクもあるが、アウトソーシング事業の成長が鈍化している現在、各社は互いに手を組もうとしている」(プレーテ氏)

 HPがこうした傾向を念頭に置いて戦略を実施しようとしているならば、今がまさにその時期というわけだ。

 Prudential Equity Groupのアナリストであるブライアン・キーン氏も、5日に発表した報告書の中で、HPがCSCを買収する可能性が出てきたことに驚いたと発言している。2005年にHPのCEOに就任したマーク・ハード氏は、同社は当分の間、大規模な買収は行わないことを示唆していた。HPはPeregrine SystemsやRLX Technologiesなどを取得し、自社の管理ソフトウェアの機能を向上させるための小規模な買収は行ったが、当時はまだ、2002年に190億ドルでCompaq Computerを買収した際の残務処理があったのである。だが2005年12月、アナリスト向けの会見が開かれた際には、ハード氏のそれまでのスタンスは変わっていたように見えた、とキーン氏は報告書に記している。

 キーン氏はさらに、HPが大手ベンダーと競合していくためには、サービス事業を拡張する必要があるとも述べている。HPのサービス部門の収益は全体のおよそ20%を占めているが、「IBMやEDS、AccentureといったITサービス大手企業と比べると、サービス市場における同社の立場はまだ弱い」(キーン氏)という。

 また、CSCを含む一般的なサービス企業には、現在逆風が吹いているとキーン氏は記している。同氏によると、政府機関や大企業ではIT支出が削減される傾向にあり、アウトソーシング事業全体の売り上げの約20%に及ぶシステムインテグレーションおよびコンサルティングに対する需要も縮小しているという。Prudentialでは、こうしたビジネス分野を「弱い国際市場」と呼んでいる。

 HPのCEOであるハード氏は昨年12月、アナリストに同社の方針を説明している。同氏はこの会見で、HPにはPC事業部やプリンタ事業部などの他部門を独立させる予定がないことを再度表明し、業務の合理化や財政の再建、提携企業としての信頼性向上といった目標を明らかにした。

 2005年夏には、「よりシンプルでより機敏なHP」を目指すための取り組みが行われた。この取り組みには、カスタマーソリューション部門の閉鎖や営業チームの再編成が含まれている。また、同社の全世界総従業員数の10%に当たる1万4500名が解雇された。

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