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» 2006年01月12日 10時00分 公開

Magi's View:IT企業への投資――今年はいかに?

今後数週間、洪水のようにおびただしい数の予測が出されるだろうが、残念ながら、それらの結論はてんでんバラバラの方向を指しているだろう。私ができるのは、投資やビジネスの上で避けるべき浅瀬を読者の方々にお知らせすることくらいだ。

[Lauren-Rudd,IT Manager's Journal]
SourceForge.JP Magazine

 年が改まり、手つかずのキャンバスのような新年が始まった。読者の方々は、そこにどのような一年を描こうとしているのだろうか。その絵を心豊かなものするお手伝いができればとは思うが、とうてい、筆者の力の及ぶところではない。しかし、投資やビジネスの上で避けるべき浅瀬をお知らせし、今年の経済的針路をささやかな光で照らすことぐらいはできるだろう。

 昨年、ウォール街は、さまざまな期待に応えないまま幕を下ろした。ダウ・ジョーンズ平均株価は65ポイント、約0.6%の下落。これより多少数字の良かったNASDAQも、30ポイント、1.4%の上昇にとどまった。S&P 500は、37ポイント、3.1%上昇したが、これにはさしたる意味はない。

 と言うのは、この数字に2番目に貢献したのは128%上昇したValero Energyだったからだ(RuddReport.comのコラムStreetwiseの2005年10月2日付け2004年10月3日付けの記事を見よ)。IT関連では、Red Hatの株価は6カ月で95.4%上昇している。つまり、個別企業の数字とウォール街全体の動きとの間に関連はあるとしても、それは微かなものでしかないのだ。

 今年も、昨年同様、ビジネス上の難しい判断を必要とする場面が多くあるだろう。金利は上昇を続け、収益の拡大は鈍るかもしれず、経済成長の先行きも不透明、イラク問題があり、連邦予算は赤字、エネルギー価格は上昇中などなど。

 政府も議会も、今後発表される経済データをできるだけ楽観的に解釈するだろう。しかし、昨年のクリスマス休暇中に、金利はエコノミストが逆利回り曲線と呼ぶ状態になった。つまり、短期債権の利回りが長期ものを上回ったのだ。この現象は過去に何度もあったが(ただし、この5年ほどはない)、いずれの場合も不況の前兆だった。 楽観的な意見もある。ウォール街のエコノミストは、企業には現金がだぶついており、今年はその余剰現金が既存設備の更新に回るだろうと見ている。ここでいう設備には、製造設備だけではなく、コンピュータのハードウェアやソフトウェア、あるいはサービスも含まれる。

 その上、消費者の消費意欲もさらに高まりそうだ。Conference Boardの最新報告では、消費者信頼感指数は11月の98.3に対して12月は103.6に上昇している。しかも、この指数を構成し将来見通しを表す指数は、前の月の88.4に対して91.6だった。これは消費者が将来を楽観していることを示している。

 求人数も改善の兆しを見せているため、消費者心理はさらに上向くだろう。Conference Boardによれば、仕事がなかなか見つからないと答えた米国人の割合は23.6から22.2に低下した。

 米国の全経済活動の75%は個人消費支出であり、小売り販売額の約1/4は祝祭日の買い物が占めるため、祝祭日の小売り販売額の実績には、いつもエコノミストの大きな関心が集まる。昨年のクリスマス・シーズンの数字はまだ出そろっていないが、Redbook Researchは12月の小売り販売額は前月と同水準だが対前年比では3.7%上昇、International Council of Shopping Centersはクリスマス前1週間の販売額は2.8%増加したという。

 しかし、住宅市場は依然として後退を続けており、注意を要する。過去数年間、景気は住宅関連投資によって大きく支えられてきたからだ。 Mortgage Bankers Association(MBA)によれば、12月23日に終わる週に申し込まれたローンの件数(指数、季節調整済み)は前週の594.6に比べ6.8%下落し、554.1だった。これは516.9だった2002年5月24日に終わる週以来、3年半ぶりの低水準。

 再融資申し込み件数(指数、季節調整済み)も、前週の1418.1に比べ11.2%下落して、1259.1。これは1246.1だった2002年4月12日に終わる週に次ぐ低さ。祝祭日を控えた週は例年申し込みが減少するが、これはそれを調整した上での数字である。

予想

 さて、2006年のウォール街はどうなるだろうか。過去2年間、ダウ平均は11,000を窺いながらも一進一退の繰り返しだった。しかし、景気の後退がなければ、今年半ばまでには11,000という心理的に重要な節目の数字をついに突破するだろう。一方、NASDAQの総合指数とS&P 500指数は今年と同様の動きを示すと思われる。

 個別の企業について言えば、合理的な評価を超えて上昇し投機の領域に入っているように思われる株式には注意すべきだ。最近筆者が取り上げた企業で言うと、Red HatとMicron Technologyはともにウォール街が正当な評価と呼ぶ水準に達しているが、SeagateやWestern Digitalなどはまだその水準には達していないと思われる。

 最も警戒すべき企業はGoogleだろう。同社に対するウォール街の見方は、ドットコム時代を彷彿とさせるものがある。実際、年明け早々にBear StearnsのアナリストRobert S. PeckはGoogleの株式を「Peer Perform(中立)」から「Outperform(買い)」に引き上げ、目標株価を360ドルから550ドルに大幅に引き上げた。しかし、Googleは、現在、1株442ドル前後で売買されており、株価収益率はほぼ100なのである。Peckは、クライアントに対して、Googleのファンダメンタルズと「Googleを取り巻く生態系の成長」に長期的な信頼を置いての判断だと説明している。

 「生態系と言えば、ほとんどの人は自然界の話だと思うでしょうが、ビジネスにも生態系はあるのです。Googleは自らの周りに独自の生態系を育んでいます。MicrosoftやIBMも、かつては同じでした」

 Novellについては、奇跡でも起こらない限り、2006年の投資は控え2007年まで待つべきだろう。同様に、SCOに対する投資も控えたい。Advanced Micro DevicesやIntelなどの企業に対しては、今年の経済状況を見ながら慎重に投資を判断すべきだ。

 今後数週間、洪水のようにおびただしい数の予測が出されるだろうが、残念ながら、それらの結論はてんでんバラバラの方向を指しているだろう。そうした予言者たちの熱情と教義の術数に陥らないことが肝心である。もし陥りそうになったら、これまでいつも使ってきた水晶玉をピカピカに磨き、覗いてみるべきだ。

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