企業のコンテンツ管理は本当に難しい!?エンタープライズコンテンツ管理のすすめ(2/4 ページ)

» 2006年02月02日 09時00分 公開
[上村陽子,ITmedia]

ユーザー企業からの問い合わせの変遷

 ITの調査を専門とするITRにも、ここ1、2年、コンテンツ管理に関する問い合わせが増えている。

 「文書やイメージファイルなどを一元的に管理し、自由に検索できるような仕組みを検討しています。この分野の主力製品の機能を比較した情報があればいただけないでしょうか」

 「ホワイトワーカーの生産性向上と情報セキュリティの両立に向けて、施策を検討しています。コンテンツ管理の海外先進事例があれば教えてください」

 「CMS(コンテンツマネジメントシステム)がここ最近、メディアに取り上げられてきていますが、代表的な製品はどんなものでしょうか」

 このような問い合わせが増えたのは、2005年の顕著な傾向だ。また関連領域では「検索エンジン」「ペーパーレス・ワークスタイル」に関する問い合わせも数多くあった。また、目立って数が多いわけではないが、「ナレッジマネジメント」に関してもコンスタントに問い合わせがやってくる。ちなみに、3、4年前には、「企業ポータル」「EIP(Enterprise Information Portal)」にかかわるものが多かったのだが、ポータルから一歩進んだ情報の管理や共有に関する理解が浸透してきたと言える。

 冒頭で紹介したIT投資動向や上述の問い合わせの変遷には、企業の情報管理への意識の動きが顕著に表れている。企業ポータルがメディアで大きく取り上げられたころはEIPがあたかも魔法の箱のようにイメージされ、EIPと名の付くソフトウェアを導入すれば、「散在する情報を誰もが手早く取り出せる環境が手に入るのではないか」「ナレッジマネジメントにもつながるのでは」と期待され、この業界が盛り上がった。もちろん、さまざまな情報への入り口として機能する企業ポータルは、散在する情報の整理にとても有効な手段だ。しかし、ポータルという入り口の先にある情報がきちんと管理できていなければ、結局のところ企業にとってのメリットは少ない。

 この現実が理解され、入り口の向こうにあるコンテンツ管理サービスや管理対象となる情報リポジトリの整備に目が向いてきたというのが、現在の状況である。主要なEIPベンダーがインフラベンダーに買収されたり、グループウェア製品がポータル製品と一体化している現状を見ると、製品提供側も情報の入り口だけでなくリポジトリを含めた全体を管理・整備していくことに軸足を移していると言える(図2)。

図2 コンテンツ管理インフラの役割

コンテンツ管理ってどういうこと?

 では、コンテンツを管理するとはどういうことなのだろうか。ここで、やや無謀かもしれないが、コンテンツ管理とスケジュール管理を比べてみよう。

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