SOAとWeb 2.0の架け橋を探求するMicrosoft

MicrosoftはWeb 2.0とSOAを同じ事柄の両端と見なし、Web 2.0がコンシューマーをサポートし、SOAがエンタープライズをサポートすると考えている。

» 2006年02月03日 10時40分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 MicrosoftはまだWeb 2.0の勢いに本格的に飛び乗ってはいないが、明らかにこれに注目し、検討している。

 Microsoftのアーキテクチャ戦略ディレクター、ジョン・デバドス氏は、同社はWeb 2.0を第一の焦点として採用してこなかったが、「何かが起きている……Web 2.0は一端であり、SOA(サービス指向アーキテクチャ)はその反対側の一端だ」としている。

 O'Reilly Mediaのトップであるティム・オライリー氏と、当時同社の副社長だったデール・ドハティ氏は2004年に、「Webを開発プラットフォームとして利用する」という意味を指すWeb 2.0ということばを作り出した。

 デバドス氏によると、MicrosoftはWeb 2.0とSOAを同じ事柄の両端と見なし、Web 2.0がコンシューマーをサポートし、SOAがエンタープライズをサポートすると考えている。同氏はサンフランシスコで開催のVSliveカンファレンスで講演を行った。

 「Web 2.0は今のところ、かなりの誇大広告だ」(同氏)

 最も人気の高いWeb 2.0アプリケーションには、軽量のツール、コミュニケーション、数の力という共通の特徴があると同氏は言う。

 一方、SOAはパターンと原則に従うアーキテクチャスタイルで、相互運用性を実現し、アジリティを促進し、エンタープライズの目的に向けた手段を示すという。

 さらに、デバドス氏は、その先端はプロバイダーとコンシューマーのモデル――プロバイダーエッジとコンシューマーエッジ――で構成されると語る。

 コンシューマーエッジはP2P、Web 2.0、エンタープライズエッジはSOA、ESB(エンタープライズサービスバス)モデルだ。さらに、コンシューマーエッジはREST(Representational State Transfer)スキームに基づく非同期通信モデルであり、エンタープライズエッジはSOAP(Simple Object Access Protocol)スキームに基づく。

 「RESTはコンシューマー側の主流モデルで、SOAPはエンタープライズ側のモデルだ」(デバドス氏)

 「設計者として、われわれはコンシューマーエッジ、このWeb 2.0エッジで何が起きているかを懸命に考えなくてはならない。待つこともできるが、わたしはこれが先端だと確信している」(同氏)

 「これらのエッジは架け橋だ。われわれがユーザーをSOAに戻す時が来ている。われわれは今度こそ、ユーザーが中心にいる場所へ入っていこうとしている。これはサービスとユーザーだけではなく、ユーザーと体験でもある。われわれはユーザーと体験のモデルに移りつつある」(同氏)

 デバドス氏は、1990年代はサービスの時代と言われるかもしれないが、2000年代はユーザーと体験の時代だと語る。

 「ますますアクセスの時代になっている。われわれは何かを買うことではなく、何かにアクセスすることを求めている」(同氏)

 実際、同氏はソフトの展望は変わっており、その変化に適応するための新しいアーキテクチャへのニーズが生まれていると話す。

 そして「サービスとしてのソフト」モデルの登場で、開発者はネットワーククラウドの中だけでなく、端でも動作するアプリケーションを開発できるようになると同氏。

 「重力の中心がユーザーに戻っている。今はアクセス、体験、エコノミーの時代だ。われわれは群衆の智恵、そして革新、コンテンツ、コミュニティー、商取引の民主化を目の当たりにしている」(同氏)

 「Xbox Liveはユーザーを中心にしたモデルの古典的な例だ」と同氏。

 さらに、このモデルを支持するビジネス、社会、技術面での駆動要因があると同氏は語る。

 ビジネス面の駆動要因には、ロングテールとして知られる変化するビジネスモデル、広告ベースの収益、トランザクションベースのシステム、サブスクリプションなどがあると同氏。

 社会的な駆動要因には、ユーザーが作成したコンテンツ、検索、パーソナライズと反応性、リッチなコンテンツ、ランキングとレーティングなどがあるという。

 技術的な駆動要因には、ソフトとサービス、高レベルの接続性と帯域、エッジの力、P2Pサポート、メッシュネットワーク、リッチコンテンツサポート、軽量ツールなどがある。

 また、このモデルを推進する固有の技術は、REST、AJAX、RSS、Ruby on Rails、Wiki、インスタントメッセージング、ボットなど軽量技術の復活を促しているとデバドス氏は語る。

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