OpenOffice.org、OpenDocumentが追い風に月刊「OpenOffice.orgコミュニティ通信」――2月号

オフィススイートのポイントは、ソフトそのものの機能性ではなくなりつつある。オープンスタンダードを取り入れるOOoは、多面展開と本体拡張を始めた。

» 2006年02月17日 12時49分 公開
[可知豊,ITmedia]

セキュアなサーバ型共有スプレッドシートS6OO.org

 アクタスソフトウェアは、OpenOffice.orgをベースにしたサーバ型共有スプレッドシート「S600.org」を発表した(関連リンク)。このツールは、IPAの2005年度中小ITベンチャー支援事業の支援を受けて開発を進めているものだ。

 S600.orgを利用するユーザーは、ブラウザとJavaVNCを使い、サーバ上で動作するOpenOffice.orgベースのスプレッドシートを操作する。この時、表計算ファイルに対してシート単位でアクセス権を設定できるのだ。現在、インターネットで試用版を使うことができる(関連リンク)

 ちなみに、S600.orgとは六百.orgではなく「Secure Server Side Shared Spread Sheet - OpenOffice.org」を意味するという。

全文検索システムNamazu、OpenDocumentに対応

 手軽に使えることをコンセプトとしたオープンソースソフトウェアの日本語全文検索システム「Namazu」。2.0.15にバージョンアップし、OpenDocumentフォーマットに対応した。

 従来のバージョン2.0.13でもOpenOffice.org1.1のファイルフォーマット(SXWなど)に対応していたが、今回のアップデートではコアとなるODFファイルに対応した。

Firefox、OpenDocumentリーダーエクステンション発表へ

 一方、Firefoxの機能拡張「ODFReader」でもバージョン0.1.1で興味深い展開があった(関連リンク)

 OpenOffice.orgをインストールしていなくても、OpenDocumentの文書ドキュメントファイルをFirefoxでHTML化して表示できるようになるものだ。残念ながら、筆者のPC環境(Windows XP)では動作しなかったが、今後の品質向上にも期待したい。

ひらがなOpenOffice.org

 OpenOffice.org本体の拡張も進んでいる。

 OpenOffice.orgのメニューやメッセージをひらがな化する動きがあり、グッデイの秋山氏によって開発されている(関連リンク)。既存のメニューをひらがな化する作業は意外と手間を要する作業だが、OpenOffice.orgのメッセージファイルをExcelに読み込み、ふりがな関数を使って変換したものだという。

 現在、α版を公開しており、どのようにひらがな化すべきかといったコメントを募集している。

2.0.1 for Intel Mac

 先日発売されたばかりのIntel Macだが、OpenOffice.org2.0.1のIntel Mac対応版が登場した(関連リンク)。現在はα版であり、英語、フランス語、ドイツ語版が用意されている。開発には、中田真秀氏が活躍している。

NeoOffice1.2

 Mac OS Xの日本語版ユーザーにとっては、「NeoOffice」が注目だろう(最近、/Jが名称からなくなったらしい)。こちらは、X11に依存する部分をJavaに置き換えたものだ。バージョン1.2がリリースされている(関連リンク)。本体はOpenOffice.org1.1.5をベースにしており、OpenDocumentファイルを読み込めるようになった。

 このように、2006年1月にもOpenOffice.orgを利用した興味深いツールが多数登場している。

 OpenOffice.orgに関するSDKとデベロッパーガイドは、バージョン1.0の時から存在していた。しかし、日本語化されていなかったため知名度も低かったと言えるだろう。そこで、バージョン1.1の時にIPAのOSS支援事業の一環としてオープンデスクトップ推進協議会が手を挙げ、日本語版開発者ガイドが作成されたという経緯だ(関連リンク)

 ただし、このドキュメントは機械翻訳によるものであり、読みやすいドキュメントとは言えなかった。そのため「もっと読みやすいドキュメントがあれば、開発する人が増えるのではないか?」という声が多かったのだ。このような背景からも、バージョン2.0の登場と同時にStarSuite8の日本語版SDKが登場している(関連リンク)

 ただし、膨大な量のドキュメントは揃ったものの、ドキュメント品質が問題なのではなく、OpenOffice.orgの開発自体の難易度が高いのだという意見もある。このような状況を改善すべく、次のイベントが開催予定だ。

開発ドキュメントコンテストの開催

 2月1日、OpenOffice.orgプロジェクトは開発ドキュメントコンテストを開始した(関連リンク)

 このコンテストの目的は、開発ドキュメントをさらに充実させるとともに、開発者にOpenOffice.orgについて理解してもらうことだ。そして、アドイン開発を促進することにある。そのため、今コンテストでは、各種プラットフォームへの移植、add-onやフィルタの開発、ウィザードやCalc関数といった追加プログラムの開発ドキュメントを求めている。勝者には750ドルが贈られるという。

 OpenOffice.orgの内部構造に詳しいグッデイの秋山氏は、「MicrosoftのCOM(コンポーネントオブジェクトモデル)や、OMGのCORBAとデザインパターンを抑えておくと理解しやすくなる」と話している。

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