StorageWorks開幕、「コンソリデーションは革新への継続的な取り組み」とHP幹部HP StorageWorks.06 Report

初日のキーノートでシュルツ上級副社長は、「コンソリデーション」にスポットライトを当てたほか、アジア太平洋地域でのStorageWorks開催を強く意識し、世界に先駆けて新製品群も発表した。

» 2006年02月21日 19時04分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「(ストレージの)コンソリデーションは一度やれば済むというものではない」──Hewlett-PackardでStorageWorks事業のGMを務めるボブ・シュルツ上級副社長は、400人を超えるアジア太平洋地域の顧客やパートナーらに、環境の変化に絶えず即応できるストレージインフラストラクチャーの重要性を説いた。

ディスクストレージ市場のリーダー、HP StorageWorks部門を率いるシュルツ上級副社長

 赤道に近く、気温が日中は30度を超すマレーシアのサバ州コタキナバルで2月21日、HPの「StorageWorks.06」カンファレンスが開幕した。オープニングのキーノートには、ディスクストレージ市場でトップシェア(23.5%:IDC調べ)の同社StorageWorks部門を率いるシュルツ氏が登場、ストレージやバックアップを分断しているさまざまなバリアを取り除き、ITを最適化する同社の新製品群やソリューションを披露した。

 シュルツ氏は、同社がこの1月に実施した調査結果を紹介することから彼のキーノートを始めた。それによるとIT部門が向こう12カ月に直面するだろう最大の課題は、依然として「ITコンソリデーション」だという。実に37%がこのテーマを挙げ、ホットな話題とみられている「コンプライアンス」の20%や「ビジネスの継続性(ディザスタリカバリー)」の17%を大きく引き離す。

 「驚くにはあたらない。ITリソースは絶えず増え続け、企業を取り巻く環境も変化している。コンソリデーションは一度やれば済むというものではない。コンソリデーションは、IT支出の7〜8割を運用保守に割かなければならない現在のIT基盤を変革し、イノベーションのために支出をシフトする取り組みだ」とシュルツ氏は話す。

新製品群を世界に先駆けて発表

 キーノートでシュルツ氏は、企業がいつでもどこでも情報が生かせるよう、コンソリデーションを進めるための一連の新製品を世界に先駆けて発表している。オンライン(ストレージ)のコンソリデーションとバックアップのそれに大まかに分類できるが、いずれもライバルたちを大きく引き離す意欲的な新製品といえる。

 前者で特筆すべきは、ミッドレンジの「StorageWorks EVA(Enterprise Virtual Arrays)」ファミリーにiSCSI Connectivity Optionを追加したこと。高価なファイバ・チャネルによって構成されたSAN(Storage Area Network)だけでなく、iSCSIで構成されたSANも同時にサポートでき、支店や営業所のようなところにもIPネットワークを活用してSANの利点を拡大できるようになる。EVAのツールでどちらのネットワークもシームレスに管理したり、バックアップが取れるメリットは大きい。

 今回、一連の発表の場として、HPがアジア太平洋地域でのStorageWorks.06カンファレンスを選んだのは、新興市場として発展が目覚しく、ユーザーである企業の成長も著しいこの地域がふさわしいと考えたからだ。

 「企業の60%のデータは、データセンター以外の支店や営業所にあるといわれており、そのコンソリデーションが重要になってくる」とシュルツ氏。HPでは昨年5月、日本市場では未発表ながら、こうしたブランチ向けのアプライアンスとして、「StorageWorks Enterprise File Services WAN Accelerator」も投入している。

 バックアップのコンソリデーションのための新製品として、シュルツ氏が筆頭に挙げたのは、「StorageWorks MSL2024」テープライブラリーだ。高さがわずか2Uのきょう体に24個のテープカートリッジスロットを搭載し、最大9.6テラバイトの大容量を誇る。

 シュルツ氏は、「ライバルの追従を許さない高密度を実現している」と胸を張る。

情報こそが重要、異種混在環境もサポート

 コンソリデーションのためには、マルチベンダーによる異種混在環境のサポートが避けて通れない。

 HPでは、ハイエンドの「StorageWorks XP」ファミリーによって、他社のディスクアレイも接続するだけで仮想化し、同一のシステムとして見せる機能を提供している。また、共通管理プラットフォームである「HP Systems Insight Manager」のプラグインとして「Storage Essentials」を提供しており、単一のコンソールによって管理を簡素化しているほか、顧客企業のコンソリデーションを支援するサービスにも力を入れている。

 「顧客らは、ストレージそのものが重要だと思っているのではない。情報こそが重要だと考えているのだ」とシュルツ氏。

 オープニングのキーノートでシュルツ氏がフォーカスした「コンソリデーション」と、HPのStorageWorks部門が特に力を注ぐ「ILM」(Information Lifecycle Management)は、ストレージインフラストラクチャーの効率性を高め、法規制や災害への適応力も高めるための両輪といえる。

 なお、2日目のキーノートでは、もう一方の「ILM」にスポットライトが当てられる予定だ。

StorageWorks.06はコタキナバル郊外のリゾートホテルで開催されている

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