Hewlett-PackardのStorageWorks部門CTO、マイク・ファインバーグ氏に、ここ最近の買収や事業拡大が、同社のストレージ戦略にどのような影響を与えるかについて話を聞いた。
HPがCEOであるマーク・ハード氏に率いられるようになって丸1年が経過した今、カリフォルニア州パロアルトに本拠を置く同社は、数年に及んだ業績低迷から抜け出すべく、ストレージ事業の再活性化に大なたを振るっている。
AppIQやOuterBayの買収を通して技術を強化し、ストレージ製品ポートフォリオを拡充、ストレージとそのほかのエンタープライズシステムのより密接な関係を目指すなど、HPは成長を鈍化させない努力を続けている。
HPでStorageWorks部門のCTOを務めるマイク・ファインバーグ氏は先ごろ、eWEEKのシニアライターであるブライアン・フォンセカ氏に対し、ハード氏が抱く究極のストレージ戦略とはどのようなもので、異なるストレージ間の互換性が向上しないのはなぜなのか、自身の考えを明らかにした。
――今週、アジア太平洋地域で開催されている「StorageWorks.06」カンファレンスの製品発表会では、どういったコンソリデーション問題について顧客に説明するのですか。また、現在最も難しいと感じている分野は何ですか。
ファインバーグ 今回の発表は、HPおよびマルチベンダーのIT環境における、オンライン/バックアップ/電子メール/リモートオフィスのコンソリデーションを特に対象としており、HPが自身のストレージ事業に継続的な力を注いでいることを示すものです。われわれは2005年5月に史上最大規模の製品発表を行いましたが、今回のストレージポートフォリオの刷新は、それに次ぐ大きなものとなりました。
――OuterBayの買収により取得した技術については、どのような計画を立てていますか。
ファインバーグ OuterBay(の製品)は、HPのエンタープライズソリューションを補完し、企業がみずからのミッションクリティカルなデータベース環境をよりうまく活用できるようにするものです。同社の「Application Data Management」スイートは、長期間使用されていない情報を自動的に抽出・移動して、データベースサイズの縮小やデータベースパフォーマンスの向上、コストの削減を実現する、OracleやSQL Server、Sybaseといったエンタープライズデータベース向けの管理製品です。
顕著かつ明白なROI(Return on Investment)が得られると言い換えてもいいでしょう。今日では、HPの「Integrity」サーバユーザーの60%がOracleのアプリケーションやデータベースを使用していることから、OuterBayの製品は彼らにとって非常に重要な存在となっています。HPは同社の技術を用いて、Oracle、SQL Server、Sybaseのデータベースばかりでなく、Oracleの「E-Business Suite」やSAP、PeopleSoftといった主要なエンタープライズアプリケーションを利用している顧客向けのソリューションを拡充することができるのです。
さらにこの買収は、HPのILM(Information Lifecycle Management)技術を進化させ続けることができるという点で、ILM戦略における新たな一歩ともいえるものです。われわれは、非構造化データを保存管理するのと同様の方法で構造化されたデータも保存管理できるように取り組んでいます。
――2006年には、「StorageWorks RISS(Reference Information Storage System)」はHPとその顧客にとって、どのような役割を果たすのでしょうか。HPの管理製品のユーザーは、現在のストレージアーキテクチャーで、いつごろRISSを利用できるようになるのですか。
ファインバーグ われわれは今後もRISSの機能強化に注力し、顧客がHPのソリューションや、HPの「ILM Partner Program」に参加している独立系ソフトウェアベンダーの製品を利用する際に、ファイルおよびアプリケーションデータを保管するリポジトリとして選択できるようにしたいと思っています。ごく近いうちに発表できるはずですので、ぜひ注目していてください。
――機能性という面では、HPは「EVA」や「XP」ストレージハードウェア製品ラインに対する研究開発の焦点を、どのような分野に絞っているのですか。
ファインバーグ EVAおよびXP製品ラインの両方で、パフォーマンスや容量、高可用性機能を向上させていくつもりです。両アレイの管理を容易にし、時間の経過とともにスケーラビリティーを増大させることに焦点を当てて、顧客の投資の保護を常に念頭に置いています。
今週行った発表などはその良い例でしょう。われわれは、iSCSIおよび4Gbpsファイバ・チャネルの接続性とともに、EVAに搭載した400Gバイトもしくは500GバイトのFATAディスクドライブを活用することで、ユーザーはファイバ・チャネルとiSCSIの双方を介して1基のEVAに接続できるようになると発表しました。これにより、パフォーマンスは向上し、最大容量120テラバイトという大きな可用性が生まれます。HPでは、「Command View and Replication」に対する取り組みも続けてきました。
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