MS OpenXML vs. OpenDocument――本当の選択の自由はどちらに?次世代オフィスドキュメントの行方(2/2 ページ)

» 2006年03月09日 10時58分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK
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 現在のところWebページではHTMLが、共通の閲覧専用ドキュメントではPDFが1つの標準となっているように、ODF Allianceでは、編集可能なドキュメントで拡張可能な標準フォーマットを確立したいと考えている。

 「OpenDocumentこそがその標準だ。広く利用されているOpenDocumentは、真にオープンで汎用性のあるフォーマットであり、Wordのドキュメント(doc)とも互換性がある。また、OpenDocumentフォーマットはOASISが公式に管理しており、ISO標準としての策定が進んでいる。(中略)唯一、専売特許論者だけが、本当に選択の自由を与える標準化確立を恐れるということは、歴史が証明している」(フィップス氏)

 一方、IBMの標準およびオープンソース担当バイスプレジデントであるボブ・スートル氏は、ODFの支持者が選択の自由を制限しようとしている、というMicrosoftの主張に対し「バカげている」と切り捨てた。

 スートル氏は自身のブログで、「Microsoftは以前も同じような発言をしたことがある。当時の主張もバカげていたが、今回も同じように話にならない。冗談ではない、消費者はそんなに愚かではないと言いたい」と述べている。

 ストール氏によれば、ECMAが進めている作業が「オープン」である、もしくはODFの開発・機能強化プロセスと同程度にオープンであるというMicrosoftの主張は、ODFおよびOASISの活動に対する侮辱だという。

 「冗談ではない、我々もそんなに愚かではない」と、ストール氏は強調した。

 ODF Allianceはまた、技術が急速に進化し続けていることが影響しているとし、公共機関がそれぞれ異なるアプリケーションで作成したドキュメントに将来性はもちろん、すぐにも互換性が失われてしまうのではないか? と懸念を抱いていることに触れた。

 こうした背景から、各種組合や教育機関、業界団体および業界関連団体の幅広い層でこの問題に対するオープンソリューションを後押ししている。一致団結しなければならないという気運が盛り上がったと、ODF Allianceは指摘する。

 同連盟の結成に際して発表された声明には、「ODF Allianceは、多くのさまざまなアプリケーションに対応する真にオープンな標準ファイルフォーマットの利用を考えている。各国政府、及び構成機関は、未来に渡るドキュメントを考慮しており、今後登場するアプリケーション、エンタープライズプラットフォームの種類を問わず、重要な書類・記録・情報を使用・閲覧・保管ができるようにすべきだ」と記されている。

 ODF Allianceは、オープンスタンダードドキュメントフォーマットとして確立されているのはODFだけだとも述べている。ODFでは、異なるアプリケーションや組織およびビジネスパートナー間における情報検索ならびにドキュメント交換を、特定のプラットフォームやアプリケーションに依存することなく行えるという。

 マサチューセッツ州のように、ODFを全面的に支持することをすでに決めたところもある。同州は現在ODFの導入準備を進めており、2007年1月から本格運用を開始する予定だ。

 ODF Allianceに参加しているSoftware&Information Industry Associationのプレジデント、ケン・ワッシ氏は、「多くの人が、ODFがドキュメントを保管および閲覧するために優れた方法であることを理解するようになっている。世界中でODFの勢いが高まりつつあることは、もう疑いようがない」と述べている。

 しかしMicrosoftは、同社の目標もODF Allianceの目標とかけ離れたものではないという持論も展開している。同社がOfficeファイルフォーマットを公開し、ECMA Internationalの正式な標準として承認されることを目指していることを主張していた。イェーツ氏はeWEEKに対し、MicrosoftはOpenDocument陣営と同様に、一定数のユーザーの要望を満たすためにこうした仕様を記述したとコメントしている。その提出を決定した2005年11月当時のことだ。

 「我々には、非常に多様で困難な要望が突きつけられていた。そこで、先行するバージョンのOfficeで使用する何十億件ものドキュメントとの下位互換性に対する要望に、対応することにしたのだ」(イェーツ氏)

 しかし、Sunのフィップス氏は昨年12月、OASISやODFを論難する一方で、自社のファイルフォーマット標準を国際標準化団体ECMAに認可してもらおうとするMicrosoftに疑問を示していた。今後もプロプライエタリかつ閉鎖的なアプローチを取り続けることは想像に難くない、と釘を刺している。

 「個人参加が認められていない標準化団体に自社の仕様を承認させることは、Microsoftが同標準を確実に管理し続け、一般的なベースラインにさせないための戦略だ。またMicrosoftは、多国間で利用できるファイルフォーマットの導入も阻止しようとしている」(フィップス氏)

 ただし、双方のフォーマットに相互運用性を持たせる必要があるという点では、MicrosoftとSunは意見を同じくしている。

 Microsoftのイェーツ氏は、同社のフォーマットをODFのフォーマットと差別化しているポイントは幾つもあるが、「ともにオープンであることは同じだ。両者の間には非常にリッチなエコシステムが生まれると考えられ、互いのフォーマットへの変換も可能になるだろう。そもそも、OpenOfficeはすでにわれわれのOfficeフォーマットをサポートしている」と話した。

 一方でフィップス氏は、ODFを担当している技術委員会では、ODFがMicrosoftのOfficeドキュメントのインポート及びエクスポート利用ができるようになると予想しており、同ファイルフォーマットをOfficeと連係できるようにデザインしたと述べている。

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