FrontPageの終焉――非Windows対応のWeb開発サポートの行方は?(1/2 ページ)

SharePoint DesignerとExpression Web Designerの登場はMicrosoftのWebコンテンツオーサリングツールFrontPageの終焉を意味しており、またMicrosoftはいずれ非Windowsプラットフォーム向けのWeb開発のサポートを打ち切ることになるのかもしれない。

» 2006年03月13日 07時00分 公開
[Chris Alliegro,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Webサイト設計者とコンテンツ作成者向けのWebオーサリングツールFrontPageを、2つの新しいツールが代替する。1つは、2006年下半期にリリース予定のSharePoint Designer 2007だ。この製品はワークフロー対応のSharePointサイトの作成でITワーカーを支援する。もう一方のExpression Web DesignerはプロフェッショナルなWebサイト設計者向けの製品で、Adobeが2005年12月に買収したMacromediaのDreamweaverと競合するツールとなる。Microsoftによれば、両ツールは部分的にFrontPageをベースとしているとのことだが、現行のFrontPageユーザーにとって、これらの新ツールを使いこなすのがどの程度難しくなるのかは、さらに詳細な情報が提供されるまでは定かでない。

競合プラットフォーム対応を軽視したFrontPage

 FrontPageはMicrosoftが1996年にVermeer Technologiesを買収した際に獲得した製品で、その最も重要な機能は、ライターやグラフィックアーティスト、製品マネジャーといった非技術系ユーザーでも、Webページを作成したり、グラフィックスを挿入したり、基本的なHTMLコンテンツをオーサリングしたりできるようにするための画像エディタだ。FrontPageは当初、Windowsと非Windows、両方のWebサイト向けに静的なHTMLページを作成するために使われたが、同製品にはプラットフォーム非依存のサーバコンポーネントも含まれたため、ユーザーは検索など、より高度な機能をWebサイトに組み込むことができた。

 FrontPageは、一番最近のリリースであるFrontPage 2003で方向転換を果たした。Microsoftはこのリリースでは、プラットフォーム非依存の包括的なWebオーサリングには重点を置かず、代わりに、チームコラボレーションWebサイトをホスティングするためのWindows Server 2003用の無料のアドオンサービスWindows SharePoint Services(WSS)に力を入れた。そして、FrontPage 2003の新機能の多くはWSSとWindows Server 2003を必要とした。これは、Microsoftの重要な新技術であるWSSの魅力を高めるための動きだったが、一方では、Linuxなどの他のWebプラットフォーム向けにFrontPageを使用するWebサイト設計者をないがしろにする動きでもあった。

新しい2種類のアプローチ

 この2006年2月の発表は、Microsoftの方向性の変化をもう1つ示唆している。つまり、Microsoftは今後、Webサイト設計に関して、FrontPageのような画一的(one-size-fits-all)なアプローチを取るのではなく、Webオーサリング製品を2つに分け、特定のユーザー層のニーズにより的確に対応し、同社の各種プラットフォーム技術とより的確に連携できるようにするつもりであるということだ。

 具体的には、MicrosoftはWebサイトの設計と作成のために次の2つの新製品を投入する。

SharePoint Designer 2007
 WSSサイトとSharePoint Portal Server(SPS)サイトをカスタマイズするためのツールとしてFrontPageを代替する、ITワーカーや企業開発者向けの製品。動的データ(例えば、XMLソースやWebパーツなどのデータ。Webパーツは、ライブデータを使用、表示できるサーバサイドのWebページコンポーネントだ)を組み込んだり表示したりなど、FrontPage 2003で導入された機能を土台とする。さらに、このツールはMicrosoftが現在開発中のWindows Workflow Foundation(2006年下半期にリリース予定のWindows Vistaとともに提供される予定)をサポートする。これにより、ITワーカーはWSSサイトやSPSサイトにワークフローオートメーションを組み込める。

 Microsoftは特にSharePoint製品向けの開発者ツールを提供することで、ポータルサイトを計画しているITワーカーに対しSharePoint製品の魅力を高め、ひいては、SAPのNetWeaver Enterprise Portalなどの競合製品よりも優位に立ちたい考えだ。

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