FrontPageの終焉――非Windows対応のWeb開発サポートの行方は？（2/2 ページ）

[Chris Alliegro，Directions on Microsoft]

Expression Web Designer 2007
　通常のWebサイト設計者向けの製品。Webサイト設計者の多くは現在、Dreamweaverなどのツールのほうを好んで使っている（Expression Web DesignerはMicrosoftがExpressionシリーズとしてリリース予定の3つの製品のうちの1つ。そのほかの2つは、グラフィックエディタのGraphic Designerと、Windowsユーザーインタフェースの設計ツールInteractive Designerだ）。Expression Web Designerでは、Webページのレイアウトや、サイトに動的データ（XMLデータソースなど）を組み込み、そうしたデータを表示用にフォーマットする機能など、FrontPageユーザーにとって馴染みの機能が提供される。

またMicrosoftによれば、Expression Web DesignerはVisual Studioに統合され、マスターページなど、ASP.NET 2.0の機能をサポートすることになるという。これにより、サイト設計者や開発者はひとつのサイトの全ページに共通のレイアウトを定義できることになる。

　こうした機能により、Webサイト設計者とサイト開発者（セルフサービス式のイントラネットアプリケーションに取り組む社内開発者など）の間の摩擦は軽減され、サイト開発者は、Web設計者が作成したサイト設計やプロトタイプをこれまでよりも簡単に拡張できることになる（例えば、ビジネスロジックを追加するなど）。そして結果的にMicrosoftは、Linuxで動作するApache Webサーバなど、競合プラットフォームに対する立場を強化できることになるだろう。ある企業のWeb設計者や開発者にMicrosoftのツールをアピールできれば、その企業がMicrosoftのWebプラットフォーム（つまり、Windows、Internet Information Services、SQL Server）を選択する可能性も高まるからだ。

FrontPageユーザーが考慮すべき問題

　これらの新製品に関する詳細はまだ漠然としているが（SharePoint DesignerもExpression Web Designerもパブリックβはまだ提供されていない）、FrontPageユーザーには幾つか考慮すべき問題がある。

　例えば、FrontPage 2003で始まった「プラットフォーム非依存性の軽視」の動きは、おそらくExpression Web Designerによって完結することになりそうだ。Expression Web Designerはブラウザ非依存のWebサイトを設計するための製品であり、HTML、Cascading Style Sheets（CSS）、Extensible HTMLなどの各種標準がサポートされるため、ユーザーは非Windowsプラットフォームで動作する基本的なWebページを作成できる。ただし、同ツールではASP.NETが重視されているため、何か高度な機能を備えたサイトを作成したい場合、ユーザーはMicrosoftプラットフォームをターゲットとすることになるだろう。

　また、現行のFrontPageユーザーは当然ながら、新ツールに慣れるための学習曲線に直面することになる。こうしたユーザーの移行を容易にするために、Microsoftは2008年6月までFrontPageのサポートを継続し、FrontPageユーザーにはSharePoint DesignerやExpression Web Designerへの移行に関するガイダンスを提供するとしている。ただし、MicrosoftがSharePoint DesignerやExpression Web Designerのβ版なり、さらに詳しい情報なりを提供するまでは、移行がどの程度大変なものになるかは判断できない。

リリース予定時期と価格

　SharePoint Designerのパブリックβは2006年上半期のリリースが予定されている。Microsoftは同製品を2006年下半期に300ドルで出荷するとしている。Expression Web Designerのβ版については具体的な予定はまだ発表されていないが、おそらくMicrosoftは2006年3月下旬に開催予定のWeb開発者向けの同社カンファレンスMIX '06で詳細を発表すると見られている。同製品のリリース時期や価格はまだ発表されていない。