Microsoftでは、進化途上にあるERPアプリケーションスイート「Dynamics」を、SAPのNetWeaverやOracleのFusion Middlewareに対抗し得る開発プラットフォームに仕立て上げる決意を固めているようだ。
Microsoftでは、進化途上にあるERPアプリケーションスイート「Dynamics」を、SAPのNetWeaverやOracleのFusion Middlewareに対抗し得る開発プラットフォームに仕立て上げる決意を固めているようだ。
3月28日に閉幕したダラスの「Convergence 2006」カンファレンスにおいて、Microsoftビジネスソリューションズ部門のダグ・バーガム上級副社長は、「ERPを目指したプラットフォーム的アプローチは、Microsoftの5年来の構想だ」と語った。この取り組みは、同社が一連のERP企業の買収を開始した2001年ごろにスタートしたという。
「Dynamicsへの投資の最大の狙いは、これをプラットフォームに仕立て上げることにある」――Convergenceカンファレンスで行われたプレス/アナリストセッションにおいてバーガム氏は、このように述べた。
「われわれは多数の技術要素を市場に提供しているが、常にその中心にあるのは5年前に打ち出したビジョンだ。われわれは常に、プラットフォームを提供するのだという気持ちを抱いてきた。すなわち、パートナーがアプリケーションを構築するためのプラットフォームとしてDynamicsを利用してもらうということだ」と同氏は話す。
バーガム氏によると、技術にお金をかける余裕のない4000万社の企業に、比較的安価な開発プラットフォームを提供することがMicrosoftの夢だという。
「これはソフトウェアの民主化の一形態だ」(バーガム氏)
Microsoftでは、Dynamicsをプラットフォームに仕立て上げるという構想を2本立てのアプローチで推進する考えのようだ。
最初のアプローチは、既存の4つのERPスイート(Great Plains、Navision、Axapta、 Solomon)のコードベースを、最近Dynamicsと名付けられたサービスベースの単一プラットフォームに統合する作業である。(この作業は2つのフェーズで進められる計画で、2008年ないし2009年に完了する見込みとされている。)
もう1つのアプローチは、各種の開発構想を通じてパートナーチャネルを支援することである。
昨年のConvergenceカンファレンスで発表された「Industry Builder」プログラムは、Microsoftの品質標準に準拠したモジュールを開発する一部のISV(独立系ソフトウェアベンダー)に対して、Microsoftがアプリケーションのサポートとコードレビューを提供するというもの。
Forrester Researchのアナリスト、レイ・ワン氏は、「Industry Builder構想は、DynamicsをISVパートナーのエコシステムのプラットフォームにするのが狙いだ」と解説する。
「ISVも独自に垂直市場向けの製品開発にVisual Studio .NETのツールやミドルウェアを利用しているが、Dynamicsは将来的にスタックあるいはアプリケーションプラットフォームとしての性格が強いものになるだろう」とワン氏は話す。
Industry Builderプログラムは当初、「Axapta」(Dynamicsのコードベースになるといわれている)を利用した特定業種向けアプリケーションを開発するISVを対象とする。
Microsoftビジネスソリューションズ部門でワールドワイド販売戦略を担当するクレイグ・マッコラム副社長によると、今年はIndustry BuilderをほかのMicrosoft Dynamics製品にも拡張する計画だという。
「多数の開発が進行中だ。われわれの最大の課題は、顧客であるISVがニーズに対応するのを手助けすることだ」とマッコラムはカンファレンスで語った。
現在までに、5社のISVがIndustry Builderソリューションを立ち上げた。
Forresterによると、Microsoftで進行中の複合アプリケーション開発構想「Snap-Ins」も、Dynamicsを利用したコミュニティー開発をにらんだ動きだという。
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