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» 2006年04月18日 08時30分 公開

「アイ・セイフティ」実験が提案する未来の子どもたちの防犯と交通安全激変! 地方自治体の現実(2/3 ページ)

[中村文雄,ITmedia]

世界初の交通安全サービス実験を実施

 第2ステップでは交通安全サービスの実験が並行して行われた。子どもたちが持つICタグからの信号を基に実験地域を走る車のドライバーに、子どもが近くにいることを伝える実験である。基地局エリアにICタグを持つ子どもがいて、情報提供装置を積んだ自動車が同じ基地局エリアを走れば、車に搭載された情報提供装置から「近くに子どもがいます。注意してください」という音声が流れてドライバーに注意喚起する仕組みである。

子どもたちが携帯したICタグ装置。1年以上の継続使用が可能。防水加工してあり、間違って服と一緒に洗濯しても壊れることはない

 第1ステップでは最大40メートル程度の距離で通信が可能な微弱電波を使用していたが、第2ステップではIEEE802.11bを使用し、最大200メートルの距離でも通信が可能となった。情報提供装置を搭載した自動車は約100台。半分以上は保護者の車で、そのほかには「交通安全サービス」の実験を提案した日産自動車、通信インフラを提供したケーブルテレビ会社のイッツ・コミュニケーションズ、警備会社の東急セキュリティの営業車に情報提供装置が搭載された。第1ステップよりも実験地区の範囲を2倍近く広げたが、基地局の通信距離が長くなったため基地局の数は24カ所まで減らした。それでも基地局がカバーするエリアは実験エリアの約6割まで拡大している。

車載の情報提供装置。今回は携帯電話網を使ってデータ送信が行われた

 1つの基地局エリアで1回だけ注意情報が流れる仕組みになっており、同じエリアに複数の子どもがいても1回しか注意情報は流れない。子どもたちが地域全域に広がっていれば、基地局から電波が届く範囲を考えると、約300メートル走行するたびに注意情報が流れてくることになる。現在、調査結果をまとめているところだが、ドライバーには子どもの位置がおおよそ把握できるため好評であった。また、実験参加者からは「継続してほしい」という回答が過半数を超えているという。

 この実験では子どもの位置を特定しておらず、注意情報の確度が低い。その点について堀間氏は次のように説明する。

 「今回使用したシステムではGPSのように電波の届く時間差で位置を特定する機能があり、基地局の設置密度を高めれば位置の特定が可能。位置精度を高めて子どもがいる交差点を特定することもできるため、半径20メートルに子どもがいるときに情報提供するなど範囲を狭めて注意喚起する方法があるかもしれない。ただし、子どもの位置を正確に知らせることは犯罪の危険性もあり、どこまで位置を知らせるのがよいのか判断が難しいところではある」(堀間氏)

 今回、車載用の情報提供装置への通信には準備期間の問題から携帯電話網を使用した。ICタグからの情報を検知して、車載の情報提供装置からメッセージを流すまで時間を5秒以内と設定した。無線LAN方式だと実験エリアの通信カバー率が高くなかったため、より確実性の高い携帯電話網を選択した。実際の実験ではICタグ検知からドライバーにメッセージが届くまでの時間は2、3秒となり、設定条件を満たした。

 「将来的にはカーナビゲーションとの連携で、このような交通安全システムが実現するかもしれない。ICタグではなく、子ども用の携帯電話を使ってもよい。どのようなメディアからの信号でも受け取れるシステムを構築すればよいのだから」(堀間氏)

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