勝ち組企業になりたければBIを浸透させよ現場力を鍛えるこれからのBI:(1/2 ページ)

BIの現場活用の実態とこれからについて論じてきたが、最後に現場活用を本当に全社的に進めるための方策と、情報活用を人任せにしている会社とそうでない会社に広がる差について考察してみた。

» 2006年04月24日 07時00分 公開
[村上 敬,ITmedia]

BIは業務部門こそが主役

BIを経営層レベルだけではなく、全社的に使う方向が進むとなると、個別バラバラのチームが勝手にデータを使うのではなく、ユーザーや解析したいテーマにあわせて効率よく迅速に結果を導ける仕組みが必要になってくるはずだ。

調査会社ガートナーでは、BIコンピテンシ・センターの設立を提唱している。自発的な情報活用がうまく回ればそれに越したことはないが、ビジネス上の判断をより良いものにし、業績にインパクトを与えるためには、ITとビジネス、分析の各種スキルがバランスよく備わっている必要がある。一般的にそのようなリソースは限られているため、組織的に取り組んでいる事例が数多くあるという。BIコンピテンシ・センター(以下BICC)はBIについて戦略プランと優先順位を策定し、データ品質やガバナンスを含む要求事項を定義した上で、BIから得られる洞察力をビジネス上の判断に役立てる手助けをする。

分析スキルの体系化

 BICCを設立する場合、やはり中心となるのは情報システム部門ということになるのだろうか。これについてガートナーの堀内秀明氏は次のように説明する。

 「企業文化やこれまでのデータ活用の経緯など考慮する必要がありますが、業務部門の関与は必須です。中心メンバーが情報システム部門であったとしても、業務部門とのコミュニケーションを密にしないと、短期的には成功したように見えても、長期的に失敗する恐れがあります」

 やはり、各業務部門の主要メンバーが入って、BICCを中心にしてBI活用をより効率的にまわしていく必要があるということだ。それではITスキルの高い社内のパワーユーザーBIを効率的にビジネス利用していく時代が続くのだろうか。BICCはそうした人たちだけのものではなく、それほどスキルが高くなくても、十分に使いこなせるようにするための組織ともいえるのだろうか。BIの将来像を含めて、堀内氏に質問すると、次のような答えが返ってきた。

 「いわゆるマネジャー層には、基本的な発揮能力として、データに基づいた判断能力が今以上に求められるようになると思われます。実績を残せれば良いというのはある意味正しいと思いますが、なぜ実績を残せるのかを論理的に説明できるということも、ビジネスに対する理解の一部であると思います。ただ、どんなにデータ分析能力が高くても、実績が残せなければ意味がないということもまた事実でしょう。それからデータマイニングや統計解析レベルの高度なデータ分析については、ユーザーと密接に連携はするものの、分析業務に特化した組織による対応というのが現実的だと思いますし、実際そのような組織の事例も確認されています」

 多くの場合、データ解析は複数システムから情報を吸い上げ、エクセルなどで加工して、戦略に役立つものにしている。こうした労力を軽減できるインフラが今後すすめば、BI活用の成功事例はさらに増えてくるだろうと堀内氏は締めくくってくれた。

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