勝ち組企業になりたければBIを浸透させよ現場力を鍛えるこれからのBI:(2/2 ページ)

» 2006年04月24日 07時00分 公開
[村上 敬,ITmedia]
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本当の意味での「組織の中抜き」が始まる

 全社的なBI活用が進むと、組織そのものに大きな変化が起きる可能性がある。アビームコンサルティングの中世古 操氏は次のように話す。

 「日本企業でもBIを積極的に使っている経営層の方は確実にいます。そういう方がよく話すのは、『部長、課長クラスの人間でも、下からの報告だけを待っている人はどんどん不要になっていく。こちらはデータとそこから解析されたものをもとに現場とコミュニケーションしていくことは可能になっているから』ということです。BIだけでなく、さまざまな情報系ツールを使う人と、人任せにしている人とでは大きな差がついていくと思いますね」

 これは、たとえばERPが導入されている、BIツールを日常的に使っているなどというレベルの話ではないだろう。エクセルのみでもデータの分析、整理を行っている人ならば、すでに当たり前のことなのだ。BIを全社的に使う傾向が強まれば、企業内のさまざまな情報の垣根が無くなっていくということにも言い換えることができる。

 SAS Institute Japanの桐井健之氏は次のような指摘をする。

 「データをインテリジェンスに変える過程をどれだけ経験するかです。そこで勝負が決まるのではないですか。このサイクルを何度経験しているかが情報に対する感度に影響してきます。私見ですが、日本は文科系の学校に入ると、数学から縁が遠くなってしまう。米国ではビジネススクールでビジネスにかかわる数字を徹底的に勉強する。こうした違いがあるので、ITのツールの利用の仕方にも勢い差異がでてきてしまうのだと思います」

 日本の企業にはアナリスト的な立場の人が専任でいるわけではないが、業務に関する数字を毎日チェックしている人はいるし、そうした層の裾野は非常に広い。

 BIがそれとわからない状態で利用されるようになると、企業も人も、いつのまにか、差がついてくる可能性がある。BIをカジュアルに利用している企業は、いつのまにか、それができない企業に大きな差をつけている可能性は大きい。

 営業にBIを活用するとき、いきなりBIツール導入というテーマでがあるわけではなくても、営業力強化という大きなテーマのなかで、戦略的に営業するにはどうすればよいか、それにはデータを活用していこうという話になっていくのはもはや自然の流れ。顧客情報やサポート情報、行動管理などと総合的に合わせて、「なんでこんなに通っているのに売れないの?」「こんな問い合わせがきているけど、それをどう生かすの?」というところで戦略を立てたいということだ。

 こうしたトレンドの背景を理解し、今、何が必要なのかをもう一度問いかけ直すことが、重要だ。いつのまにか、業界の中で会社そのものが中抜きされ、取り残されることのない取り組みが求められている。

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