SQL Server 2005がデータベースミラーリングを提供、クラスタリングを代替するSP1(1/3 ページ)

SQL Server 2005 SP1でデータベースミラーリング機能がようやく提供される。Microsoft Cluster Serviceよりもシンプルなフェールオーバーソリューションだ。企業はそれぞれの状況に応じて、ミラーリングかクラスタリングかを選択する必要が出てきた。

» 2006年05月25日 07時00分 公開
[Chris Alliegro,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 SQL Server 2005 SP1は、2005年11月のリリースに組み込まれなかった2つの新しい機能を提供する。 まず、ハイエンドエディションに含まれるデータベースミラーリングは、旧バージョンで冗長性とフェールオーバーをサポートしていたMicrosoft Cluster Service(MSCS)よりもシンプルなソリューションを提供する。ただし、SQL Server 2005はクラスタリングのサポートも継続しているため、ユーザーはそれぞれの環境に最適と思われる方法を選択する必要がある。SP1はまた、いくつかのバグフィックスとともに、エントリーレベルの無料エディションであるExpress Editionに、新しい管理ユーティリティと従来はハイエンドエディション向けだった2つの新機能を提供する。

さまざまな問題を解決

 2005年11月のSQL Server 2005のリリースからおよそ6カ月後の投入となったが、SP1に含まれるバグフィックスは比較的少ない。SP1に関するKnowledge Baseの記事をみても、ドキュメント化された47のフィックスがリストアップされているだけだ(SQL Server 2000のリリースから7カ月後にリリースされたSQL Server 2000 SP1には、300近くのバグフィックスが含まれていた)。ドキュメント化されたフィックスは、ホットフィックスがリリースされたバグに対応するものだが、それほどシビアでないバグについても当然フィックスされている。ただし、Microsoftはそれらのフィックスについて、特にドキュメンテーションは公開していない。

 それほど驚くべきことでもないが、SP1に含まれるフィックスの大部分は、最もヘビーに利用される機能分野のバグを解消するものだ。実際、バグの半分以上は、SQL ServerのデータベースエンジンやAnalysis Servicesで発生している。フィックスされたバグの多くは中レベルの深刻度で、プロダクションレベルで問題になる可能性は低い(それらの問題はアプリケーション開発やテスト時に発生する)。しかし、なかにはランタイムエラーやパフォーマンスの低下といった問題を引き起こすものもある。クエリやストアドプロシージャの実行速度が低下したり、不意に失敗あるいは実行できなくなるなどの問題が発生するバグも今回解消されている。またビルトインのデータ変換機能を利用するとメモリリークが生じるIntegration Servicesのバグもフィックスされた。さらに、こうしたバグフィックスに加え、SP1ではパフォーマンスを向上させるさまざまな手直しも行われている。

 ただ、.NET CLR(Common Language Runtime)やユーザー定義データタイプ(UDT)など、SQL Server 2005の新機能に関するバグフィックスは少ない。おそらく、それらの機能はまだユーザーに広く利用されていないからだろう。したがって今後、顧客の間で本格的なテストやプロダクションユースが進めば、さまざまなバグが発見され、それらの機能に関するホットフィックスやサービスパックが徐々に提供されるはずだ。

自動フェールオーバーをサポートするミラーリング

 データベースミラーリングは、データベースの冗長性を実現するフェールオーバーソリューションだ。従来のSQL Serverにあったログシッピングと呼ばれる機能と似ている。ミラーリングもログシッピングも、予備マシンにプロダクションデータベースのコピーを保持することで、データベースの冗長性を実現する。プロダクションと予備のデータベース間で同期するために、ミラーリング(とログシッピング)は定期的にプロダクションデータベースのトランザクションログ(データの挿入、更新、削除など、データベースの変更を記録したログ)を予備マシンにコピーし、変更部分を予備データベースに反映させる。

 ただし、データベースミラーリングは、ログシッピングより進化している。管理者がプロダクションデータベース(主データベース)から予備サーバ上のコピー(ミラーデータベース)に自動的にフェールオーバーするよう設定できる点だ。ログシッピングでは、プロダクションデータベースが落ちたときに予備データベースへ切り替えるには、オペレータの介入が必要だった。フェールオーバーを自動化すれば、管理者はログシッピングより不意のダウンタイムにあわてることは少なくなるだろう。

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